07.開く、進む
「え..…」
何?私、何か言っちゃいけない事言った?
ガーネットなら何でも受け入れてくれるって思って、完全に心開いて…わ、私。
『だーかーら、今なんて言った?』
ガーネットがニヤリと笑い八重歯が見える。
「ごめん、何か言っちゃいけない事言ったかな?」
胸が締めつけられる。苦しい。
『めっちゃ』そう一言だけガーネットが呟く。
「め、めっちゃ?」
『そう。”めっちゃ”あるんやろやりたい事?』
ガーネットはニヤニヤとしている
「う、うん」
私がそう答えるとガーネットは私の方に急接近してきて、片手でふにっと私の頬を掴み
『”めっちゃ”』ともう一度言った。
「あ、私、ガーネットの関西弁移ってる!」
私もやっと気づいてゲラゲラと笑った。
私、こんな風にまだ笑えたんだ。
「ねえ、ガーネット、ガーネットって私専用の執事なんだっけ?」
『うん、まあ、せやで』
「そ、そっか、その、あの、あのさ」
この年になってこんな言葉、言ったことないから詰まってしまう。
「執事じゃなくて、その、と、”友達”になってくれない///?」
なぜだか照れくさくって顔が熱くなる。
ガーネットの綺麗な瞳が、窓から差し込む光で一層きらきらとしている。
グーギュルルルル
『あかん、ええ話してくれてるときにお腹なってもうた』
二人でまたゲラゲラと笑いあう。
「じゃあ、私が何か作るよ」
『え、れみたそ自炊できるん?作ってほしい!』とまるで小さい子どものように嬉しそうにしている。
「できるよ、冷蔵庫の中は何か入ってる?」そう尋ねるとガーネットは眉を”ハ”の形にして口を尖らせながら顔を横に振った。
『うーんだって料理とかしやんもん!!あ、なーぁ♡買い出しめんどくさいし、ウーニャーイーツにしよぉ?♡』
この世界にもウーニャー(ウーニャーイーツの略)があることに驚いた。
「ウーニャーね、」
ウーニャーは高くつくから今まで私は頼んだことが無かった。節約、節約って必死だった。
でも、私の為の世界なんだし、良いよねっ!
「ウーニャー食べたい!!」
そう言って立ち上がろうとする私の手首をきゅっと握って、ガーネットが耳元でこう呟く。
『流石ウチの”友達”やな』