04.何にも縛られないなら
『まぁ、ここはあんた専用の世界やから、過去も忘れてええよ。』
ゆっくりゆっくり、ガーネットは私を慰めてくれた。
久しぶりに感じた優しさだった気がする。暖かい。
初めて会った子なのに…ダメだなぁ、私、涙が止まらない。
『さっきも言うた通り れみたそ専用の世界 やから、恋愛はしやんとこうね。』
そう言いガーネットはそっと微笑んだ。
優しいその口元にはキラキラとしたピンクのグロスが光る。
「で、でも、親とか、親戚から、『彼氏はいないのか?』『良い人はまだ居ないのか?』『何歳だと思ってるの?』って、!!」
私は焦って大きい声になってしまう。
26歳を超えたあたりから、
親、親族、いや、友達からも言われたりすることがあった。
それが私にとってかなりプレッシャーになっていた。
みんながしてること、私は出来ない。なんで、。
また、ため息が出そうになる。
そんな時 ガーネットが力強い声で『ここはれみたそ専用の世界やから大丈夫や!』と言う。
そ…そっか、私は異世界転生をしたから、親とか友達とか…もう関係ないのか…。
「本当に私は異世界に転生したんだ…」
私は深く深呼吸してガーネットに訊ねる。
「ねえ、ガーネット。本当に好きなように生きていいの?」
『ええで~!あ~!!!やっとウチの名前 呼んでくれたなぁ♡嬉しいわ♡』と綺麗な深い赤色の目をキラキラと輝かせている。
ケタケタとガーネットは笑っているが、出会った時にガーネットを呼び捨てして怒られたんだけど…ふふふ
あぁ、なんか楽しい。
笑うガーネット、見とれてしまう。
最近は仕事に忙しくて何かに恍惚として見入る事は無かったのだが、久しぶりにうっとりした気持ちになった。
久しぶりの縛られない時間。
何も制限があるなんて知らなかった子供の頃のような感覚になった。
「したい事…やりたい事…あるかも」