03.転生世界でしたくない事
「わ、私専用の執事!?ギャルが!?」
そう言うとガーネットは『なんや文句あんのか!てか、ギャルってなんやねん!ギャルって!ガーネットって呼んでや』と右の頬をふくらがしている。
『まあ、れみたその為に作られた世界で、分からへん事も多いやろうし、ウチが色々教えたるってことやで!!分からんことなんでも聞いてな!』
こうして、唐突に、不思議なギャル ガーネットとの生活がスタートした。
『まず、1つ!れみたその為に作られた世界やから、れみたそがしたい事何でも出来るんやで!!』
「ほ、ほう…」
『やから、れみたそが1番したいこと教えてくれやん??目標みたいやつ!』ガーネットは目を輝かせながらこっちをみている。
「したい事かぁ、、したくない事なら沢山あるけど、したい事、、はぁ、」夢も希望もない自分に嫌気がさしてため息が出てしまう。
すると、ガーネットは真剣な顔をして『ほな、したくない事はなんや?』と私の手を握った。
暖かかった。誰かに手を握られることなんて久しぶりだ。よく考えると仕事以外で誰かと話すのも久しぶりな事に気がつく。
「恋愛」
そう答えるとガーネットは手をぱっと離して『え?』と呟く。
「恋愛したくない。」そう呟くと
『れみたそ。大丈夫。それでええんやで。じゃあ恋愛はこの世界ではしやんとこ!な!』と優しく微笑んでくれて、ガーネットはまた手を握ってくれた。
「で、でも、恋愛して、彼氏を作って、結婚して、子供を産んで、じゃないと、周りの目が、、」そう言うとガーネットは『せやから、れみたそ!ここはあんたのための世界やで?あんたの好きなようにしたらええんや!なんも気にせんでええ!』
「そ、そっか。うん…恋愛しない、恋愛したくない、、」そう言って俯いていると
ガーネットは私の事をそっと抱きしめてくれた。
初めて会ったギャルなのに、ガーネットはすごく暖かくて安心した。
『ウチで良ければ話聞こか?嫌やなかったらでええよ、、話しにくいんやったら無理に聞こうとは思わへん』数分前までキャピキャピしていたとは思えないほどに真剣な眼差しだった。
「ありがとう……じゃあ、少しだけ話しても良いかな?」
私はそう言ってガーネットに私の過去について聞いてもらうことになった。
「私、本当に、都合のいい女になっちゃう体質で…今までずっと恋愛が上手くいかなくって。本当にいつもいつも私が悪いだけなんだけど……。」こんな話を人にするのは初めてだからモゴモゴしてしまう。
でも私はずっとずっと、誰かに聞いて欲しかったんだと思う。
「初めての彼氏が出来たのは大学1年の時。同じサークルの2個上の先輩。私が人と付き合うのは初めてだと言うと『俺も初めてだよ』って言ってくれて。お互いが初めての恋人で、、。すごく浮かれてた。そして付き合って1ヶ月ぐらい経った時にホテルに誘われて、」
『ホテルやて!?///』ガーネットは顔を赤らめていた。
「そう、ホテルに誘われて、お互い初めてだからドキドキするね、なんて言いながらホテルに入ったの」
ガーネットは頬を赤らめながら、じっと真剣に聞いてくれている。
「お互いが初めてだと思ってた。なのに、ホテルに入ってチラッと見えた彼のスマホ画面……WiFiが繋がってて…」
『え………!それって過去にそのホテルに来たことあるって事やんか!!』ガーネットは突然大きな声を出す。
「で、でもね…何かの間違いとか、隣の建物のWiFiとかかもしれないし…勘違いかもしれなかったんだけど…急に彼が怖くなって、そこから逃げ出しちゃったの。」
『うん…』
「それでね次の日 大学で、彼に謝ろうと思って、彼がよく居る食堂に向かったの。そしたら、彼が…ッ」
言葉が詰まった。思い出したくない記憶だった。
『れみたそ…無理せんでええよ…無理は…』
「ありがとう…でも大丈夫。そう、食堂でね彼が同じサークルの男子たちに笑いながら昨日の話をしていて…『あの1年も抱けるかと思ったのに、無理だったわ』『ああいう真面目すぎるタイプは扱いにくい』『次は誰にいく?』って。」
「はぁ!?何ソイツ!舐めてるやろ!しばきまわしたろか!」ガーネットは手に持っていたコップを強くテーブルに置き、鬼のような顔をしていた。
「ううん、私が悪いんだと思う。私がそういう体質で、私が真面目すぎて!」と私は笑った。
ガーネットは『ウチの前では無理して笑わんでええ!』と強く私に言い放った。
私の目からは涙が溢れた。止まらなかった。
ガーネットは抱きしめてくれた。