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10.転生した理由

転生した理由がそりゃ気になるに決まっている。


『そんな、どうしてって言われてもなあ、』とガーネットは困った顔をしている。

「いや、それは説明してくれないと分からないよ…そもそも転生って言ったら何か、魔王を倒すとか、伝説の勇者に選ばれるとかさ、国を救う!とか、そういうのじゃないの?」

『そんなもん、フィクションの世界やがな!』

「そんな事言い出したら、転生自体フィクションでしょ…どうして私は転生したの?」全然話にならなくて私もどうしたらいいか分からないし、何を聞いたらいいのか分からない。

「て、てか、貴方は宝石なの?最初、私はもとの世界で神社に居て、落ちている綺麗な宝石を拾ったら喋りだして転生したと思うんだけど…」

『ふっ、ウチは宝石っ、キラキラやっ』

「ふ、ふざけないで…!!真剣に話したいの」

『ごめんやん、そんな怒らんでや、』ガーネットは悲しそうな顔をしている。

「ご、ごめん、違うの、ごめん。あのね、ガーネット、ゆっくり話そうか」

私も大人気ない言い方をしてしまって申し訳ない気持ちになる。ガーネットはまだ高校生。大人の私が冷静にならないと…。

私はキッチンでカフェラテを2人分作って、ガーネットの前に置いた。


「ゆっくり話そう」

『…』

「ゆっくりでいいから」

『ウチは…。今は…話したくないんや。』

「えっ?」

『でも、れみたそ、言わないと、困るやんな、ごめん、でもっ…』ガーネットの目に涙が溢れる。

「ごめん…ガーネット。急に聞かれて困るよね。何か事情があるんでしょ?話さなくて大丈夫。話せるときで大丈夫。」


”「何か事情があるんでしょ?大丈夫、話さなくて大丈夫。」”

今まで付き合ってきた男に何回このセリフを言っただろうか。何度この言葉を言って都合のいい女になっただろうか。

何度この言葉で人生を駄目にしただろうか…。

だけど、どうしてだろう。ガーネットはきっと私をなにかに陥れようだとか、騙そうだとか、悪さをしようだとか、そういう風には思えない。

何回もこの言葉で都合のいい女になってきたけど、ガーネット、この子だけは違う気がする。


『ごめんな、れみたそ…でもこれだけは信じて欲しい。』

真剣な表情をするガーネット。この濁らず、泳がない目は嘘をつこうとしている目には見えない。

『れみたそを転生させたのはウチ。どうして転生させたんかって言うと、れみたそがしんどそうやったから。幸せになって欲しいから。れみたそ専用の世界を作って転生させた。ごめん。』

「うん、そっか。ううん、ありがとう、助けてくれたんだよね、ガーネットは。」

私はそっとガーネットを抱きしめる。

大丈夫、今はこの説明で十分。きっとこの言葉に、嘘はない。

「せっかくガーネットが私専用の世界を作ってくれたんだもん、私全力で楽しむ!幸せになる!この世界で!」

そう言うとガーネットの表情はパッと明るくなり

『その幸せになる手伝いウチが全力で手伝う!』


こうして、私専用の世界で最高の幸せを掴み取る計画がスタートした。

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