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転移

 サクラは、普通の学校生活を送っていましたが、病弱なために頻繁に学校を休むことがありました。

 そのため、彼女は自宅での静養が多く、図書室が彼女の癒しの場となっていました。


 彼女の部屋は、小さな図書館のようなもので、壁一面に整然と本棚が並んでいました。

 彼女が読み終えた本は大切に整理され、ジャンルごとに仕分けられていました。

 その中でも彼女の特にお気に入りは、ファンタジーの物語でした。


 彼女は、図書室で過ごす時間を楽しみにしており、放課後には必ずそこへ足を運んでいました。

 静かな空間の中で、彼女は剣と魔法の冒険に夢中になり、自分が物語の主人公となったような気分に浸っていました。


 サクラはファンタジーのライトノベルに特に魅了されていました。

 そこに描かれる魔法の力や勇者の冒険は、彼女にとっての逃避となり、現実の病弱な自分とは異なる強く輝く存在としての夢を抱かせてくれました。


 彼女は自分の病弱さや内向的な性格を受け入れながらも、本の世界に没頭することで勇気と希望を見出していました。

 そのため、図書室で過ごす時間は彼女にとって至福のひとときであり、自身の心の支えとなっていました。


 そして、そんな彼女が図書室で一冊の本を読んでいる最中に、異世界への転生の運命が訪れるのです。

 新たな冒険が始まる前に、彼女の内に秘められた力と夢が芽生えていたのです。


 サクラは学校では地味で目立たない存在でしたが、彼女はその内向的な性格を受け入れつつも、本の世界での冒険や魔法の力に憧れを抱いていました。

 図書室で読んでいるライトノベルの中のキャラクターや世界に思いを馳せ、自分もそのような冒険者になれたらと夢見ていたのです。


 サクラは学校で友人と深いつながりを持つことはありませんでしたが、本には彼女が心を許せる仲間や信頼できるパートナーが詰まっていました。

 彼女はその仲間たちの活躍や絆に感動し、自身もそんな絆を築くことを夢見ていました。


 彼女の部屋には、読んだ本から得た知識や感動を形にした手帳やイラストが散らばっていました。

 彼女は読書だけでなく、自分の感想や物語の考察を書き残し、自分なりの創作活動も行っていました。

 彼女の心の中には、新たな物語の舞台やキャラクターが生まれる可能性が広がっていたのです。


 そして、ある日、サクラは図書室で大好きなファンタジーのライトノベルを読んでいる最中、突然鮮明な声が聞こえました。

 その声は優美で、まるで風に乗ってやってきたかのようでした。

 サクラは驚きながらも声に導かれるように本を手に取り、その場で目を閉じました。


 次の瞬間、まるで光の中に包まれたかのような感覚に襲われました。

 一瞬、全身が浮遊しているような感覚を覚えながらも、サクラは不思議な安心感に包まれていました。


 光の感触が消え、サクラは目を開けると、そこには見知らぬ場所が広がっていました。

 彼女は図書室の本棚から一歩踏み出した先にいたのです。


 サクラの目の前には、広大な草原が広がり、遠くには美しい森の景色が広がっていました。

 彼女は驚きながらも、その美しい風景に心を奪われました。


 すると、突然、サクラの前に光り輝く存在が姿を現しました。

 それは美しい女神の姿をしていました。

 女神は長い金髪を持ち、白いローブに身を包んでいました。

 彼女の目は優しさと知識を秘めているように輝いていました。


 女神はゆっくりと微笑みながら、サクラに声をかけました。

「おお、転生者よ。私は光の女神アルミエル。あなたが図書室で夢中になっていたファンタジーの世界へ転生したのです。」


 サクラは驚きと興奮を抑えながら女神に対応しました。

「女神様、私が本当に転生したのですか?この世界は図書室で読んでいたライトノベルの世界ですよね?」


 女神アルミエルは優雅に頷きながら答えました。

「そうよ、サクラ。私はあなたが長く生きることができない運命を知っていたわ。だからこそ、あなたに新たな力と冒険の機会を与えたの。」


 サクラは驚きと感謝の念で胸がいっぱいになりました。

 彼女は自分が本当に夢見ていた世界に転生したのだと確信しました。


 女神アルミエルは続けました。

「あなたに与えるチート能力は、魔力ゼロながらも連続して使える治癒系の魔法です。これはあなたが持つ特別な力であり、この世界で大いに活躍することができるでしょう。しかし、他の魔法や戦闘スキルは持たないことを覚えておいてください。」


 サクラはチート能力に興奮しつつも、自分が魔力を持たないことに戸惑いを感じました。

 しかし、女神の言葉によれば、彼女の治癒魔法は連続して使用できるとのことでした。


 女神アルミエルは最後に言いました。

「サクラ、あなたの冒険はまだ始まったばかりです。この世界は危険な魔物やダンジョンが存在し、試練が待っています。しかし、私はあなたに力を与えたから大丈夫。自分自身を信じて、仲間と絆を築きながら前に進んでください。さあ、冒険者としての旅が始めて。」


 女神の言葉を胸に、サクラは決意を新たにしました。

 彼女は自分の新たな力と冒険の場であるこの世界で、図書室の中で夢見ていた冒険者の姿に変わり果てるのです。


 転生後の世界で、サクラは新たな名前「サクラ・ライトブレイズ」を授けられたのです。


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