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第二十七話

家に着き、まずはシャワーと着替えを済ませた。母さんのことを確認してから、今日の夕食の準備をすぐに始めた。途中、母さんからコーヒーとお菓子の要望があり、それを届けに行ったりもした。朝に準備をしていたおかげで唐揚げは衣をつけてあげるだけ、味噌汁も長ネギを切って炙り、味噌汁に入れるくらい。揚げ物なので少し時間はかかるが、手順が簡単なのであまりストレスにはならない。うちの唐揚げは、山椒を入れて香りをよくする。山椒の香りであまり脂っこく感じないので好評だ。


料理を始めて、30分後の6時ごろ、家のチャイムが鳴った。


「母さん。きたみたいだからお出迎えして。こっち今手が離せないから。」


「了解―。こっちでしゃべってるから、できたら呼んで。」


野球の時に聞いていた時間通りに3人はきた。数分後にキッチンからは見えない客間で母さんと日向さんの笑い声が聞こえる。お茶でも運んだ方がいいのかなと思い、客間に向かった。


「失礼します。お茶持ってきました。」


客間に入ったら少し異様な光景だった。母さんと日向さんだけが喋っていて、結さんと中村先生がその場に居づらそうに正座をしていた。


「お、気がきくじゃない。それよりまだなの?お腹すいちゃった。」


「もう少し待って。あと5分ぐらいだから。」


お茶を置いて、すぐにキッチンに向かった。どうも、あの2人は話についていけてないみたいだし、あとの2人は話が終わりそうもない。早く作り終えて自分が入った方がいい。中村先生は母さんに強くは言えないし日向先生は直属の上司だ。肩身が狭いのもわかる。結さんはあの性格上話すのは無理だろう。母には5分と言ったものの、急いで3分ほどで完成させた。ちゃんと仲間で火が通っているから大丈夫だろう。


「母さん。できたからみなさん案内して。」


キッチンから母さんに向けて、少し大きめの声で呼びかけた。話に夢中で囲えないと悪いから。


「わかったー。」


明るく母さんは答えた。


食事を始めると、あれだけ話していた母さんと日向さんも食べることに集中した。時折、4人の口から美味しいという言葉が聞こえたので内心とても嬉しかった。自分が4人の中に入ることで会話に入ることができていなかった結さんと中村先生も会話に参加し始めた。


「それにしても寛くんは料理上手だね。」


「知り合いのプロの料理人に教えてもらいましたから。中3の夏休みから卒業までの放課後ほぼ毎日。」


「おかげで食に興味のなかった、うちの家族が食に興味を持つようになったの。寛以外うちはろくに料理できないからね。私も寛に教わるようになったのは最近で、他の家事はみんなで分担するけど、料理ばかりは練習しないといけなくて。こればかりは寛に頼りっきりで。」


「1人で毎日3食作るのは大変なんで、母さんの創作の息抜きがてら料理でもしてみたらっていうことで自分が教えるようになったんです。こっちとしては負担が減るし、手伝ってもらえるので一石二鳥なんですけどね。」


話の内容も、こう言った世間話がほとんどだった。


次回から、寛の過去の話です。

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― 新着の感想 ―
[一言]  羨ましいくらい優しい人ばかりで、温かな人間関係に、なんだか癒される思いです。  凄く安心して読ませて戴いてます。  温かさを戴いていますよ。  
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