第二十四話
次の日、正午あたりに中村先生が花屋に来店した。
「渡邉くん、話があるんでしょ?」
「そうなんです。わざわざすいません。来てもらって。」
「いいのいいの。気にしないで。」
「あの今週の土曜日の夜何か予定ありますか?」
「いいや、特にはないけど。」
「よかった。母さんが久しぶりに会いたいというので。後、日向先生と結さんもくるんですけどいいですか?」
「医院長先生もくるのか。でも、いいよ。医院長先生に自分のこと紹介してくれたのは渡邉くんのお母さんだし。おそらく結ちゃんも呼んだってことはおそらく君の話をするからだと思うから。」
「そうですね。では、よろしくお願いします。そうだ。何食べたいですか?」
「そうだね。普通に唐揚げとかが食べたいかな。渡邉くんのやつめちゃくちゃ美味しいから。」
「ありがとうございます。わかりました用意しておきますね。」
「じゃあ、こっちのお願いも聞いてくれる?」
「はい。いいですけど。」
「ちょうど同じ日に病院のみんなで野球をする約束しててね。一緒にどうかな?もう投げることはできるんだろ?」
高校卒業後、スポーツ推薦で某大学に進んだのだがその大学の練習中に肩を故障してしまい、野球部を辞めたわけではなかったが、授業と他のことで手が回らなくなって、思い立った時に部に顔を出してリハビリをするような感じだった。リハビリにかなり時間を使ってしまって、大学では満足するほど野球ができなかった。
「そうですけど。いきなり自分が入って大丈夫でしょうか?」
「いいよ、いいよ。むしろ大歓迎。甲子園出場投手の球なんてなかなか見れないからね。みんな興奮すると思うよ。ちなみに日向医院長もくるから。」
忙しいのによくやるなと思った。で、この病院の先生方は本当に仲がいいのだなとも思った。
「わかりました。参加させていてだきます。」
「そうよかった。楽しみにしているからね。」
そういって中村先生は花屋を後にした。
その日の帰り道、母さんに土曜の買い物をするから、遅れるとメッセージを送り、近所のスーパーに寄った。結さんにも食べたいものを聞いたがなんでもいいということだったので唐揚げとうちで好評の長ネギと甘い梅干しの味噌汁にしようと思う。うちになくて買うものは、鶏肉と長ネギなどの食材とお酒を少し。中村先生はお酒が好きだから、少しだけいいお酒を買おうと思う。うちに確かウイスキーはあるからワインかな。あまり詳しくは知らないが、母さんが白の方が好きなので白ワインを一つ買った。
家に帰るとめずらしく母さんが夕飯を作っていてくれた。生姜焼きだった。買ってきた白ワインを母さんに見せると案の定、飲みたいと言って聞かなかった。もちろん飲ませなかった。代わりにといってはなんだが、ハイボールを作り一緒に飲んだ。




