第二十三話
そういってファミレスにつき、母さんは美味しそうにとんかつ定食の大盛りをペロリと完食した。相当お腹がすいていたのだろう。デザートにチョコレートパフェも1人で完食した。
母さんがビールを飲んでしまったので、自分が運転する羽目になった。運転苦手なのに。家族に自分の運転は不評だ。よく実技受かったねと言われてしまう始末。ブレーキの踏み方が下手すぎて酔ってしまうらしい。案の定自分の運転に関して母さんが、
「ほんと下手くそだよね運転。スポーツはできるし、運動神経は抜群なのになんで運転できないかね。」
「昔から言ってるじゃん。俺は力加減ができないの。体育の野球で女の子相手に力込めて投げちゃって、泣かれたこともあるんだから。ブレーキも優しく踏むための力加減がわからないの。」
「あー、覚えてる、覚えてる。学校に呼ばれた時は笑っちゃったよ。甲子園出場投手が野球未経験の女の子に本気で投げたって聞いてさ。」
そう。自分は春の甲子園に出ていた。3年生の時の1回だけ。21世紀枠での出場だったが3回戦まで進むことができた。夏は県予選の決勝で敗れてしまい甲子園には行けなかった。
「学校来た時母さん大爆笑してたから、親子揃って先生に怒られたしね。」
「寛関係でよく学校に呼ばれてたから心配になったのよ。問題行動はなかったけど大きな怪我とかよくしてたから。
安心して理由聞いたらおかしくなっちゃったんだもん。仕方ないでしょ。」
「今となっては笑い話だけどね。」
そうこう話しているうちに家に着いた。
「じゃあ先に風呂入っちゃって。俺まだやることあるから。」
「パパにメールでも送るの?」
「そうだよ。どんな感じにしたいとか色々聞かなきゃいけないし。」
「そう。なら後で私も送ろうかな。」
「メールより電話の方が喜ぶでしょ。」
「面倒じゃない?お金もかかるし。」
「それ聞いたら父さん悲しむよ。1ヶ月も会えてないんだから声くらい聞かせてあげればいいじゃん。」
「まあ後少しで帰ってくるからいいっか。」
「めんどくさくなったんだろ。」
「久々にあったほうが感動が大きいでしょ。あんたも連絡しちゃいけない約束なんだから、寂しくてたまらないんじゃないの?」
「まあ。そうかな。」
「おっ、デレたデレた。めずらし。流石に1ヶ月も離れ離れは辛いもんなのね。まだ可愛いとこあるじゃない。」
「俺は常に可愛いでしょ。」
「うわ・・・」
「冗談冗談。真に受けないでよ。」
「その顔外でできるようにならなきゃね。」
「そうだね。まあみんな揃えば少しは笑顔が増えるんじゃないかな。というより早く風呂入ってきてよ。俺明日も仕事なんだから。」
「はいはい。上がったら呼ぶからね。」
そうして自分の部屋に戻った。父さんへのメールを打ち終わり、中村先生に「明日花屋に来てください」とメッセージを打ち、母さんの「上がったよ」の声が聞こえたのでお風呂に入った。風呂から上がり、メッセージを確認すると「了解」と一言中村先生から返信が来ていた。父さんからの返信はおそらく明日以降になるだろうからこの日は寝た。