【プロローグ】世界情勢
世界大戦勃発のプロローグ
梅雨が明けたというニュースが様々な媒体で報道された今朝、明らかに気温が上がったように感じた。
気のせいでないのは、背中にじっとりとふきだした汗が証明している。
連日のごとく降り注ぐ雨に、よくもまあ飽きないものだと感心すらしたものだが、いざ雨が上がり燦燦と降り注ぐ太陽光に照らされれば少しくらいの湿気には目を瞑ろうと思わないでもない。
さて、未来になれば便利で安全、平和で豊かな生活になるというのが世間一般の通説だろう。
願望かもしれないが、ネコ型ロボットが一家に一台普及する国民的アニメは5世紀も前にこの国で大ヒットしたし、今なおその勢いが衰えないラノベ業界でも魔法と見まがう科学技術を駆使した戦闘モノは人気を博している。
もうみんな気づいているかもしれないが、実際はいい変化ばかりではないのだ。
むしろ、5世紀もの間、起こらずにいたことが奇跡であった。
第三次世界大戦は、突如として勃発した。
昨年四月、アメリカ合衆国は財政危機に陥ったカナダに経済援助を打診され、財政顧問を派遣した。
同年七月にアメリカはカナダに対し合衆国財政指南評議会を設置し外交権に対する制限を設け、さらにその三か月後内政権をもアメリカ大統領の承認を必要とする条約を締結させた。
アメリカファーストを唱えた同国の外交政策には非難が集中していたが、これには国際連合による経済制裁まで議題にされた。
アメリカは十一月にカナダを吸収合併しアメリカ合衆国連邦(USAF)に改称することを宣言し、同時に国際連合常任理事国を解任された。
年が明けて今年一月にUSAFは国際連合を脱退し、日本に対し日米安保条約に基づく軍事同盟の締結を求めた。
日米同盟の結成である。
これに危機感を抱いたロシア連邦は中華人民共和国と中ロ同盟を結成した。
そして三月には米韓軍事演習の延長として交渉をしていた韓国が日米同盟に加わり日米韓三国同盟が、危機感を強めた中国と北朝鮮の条約締結による中ロ朝三国連盟が結成された。
かねてから警戒された極東エリアの国際規模の動乱にヨーロッパ諸国は次々に直接的不介入を宣言した。
そして七月の今日、日本は日本海海戦の真っただ中である。
「よろしい、座れ」
敬礼して着席する。
「貴様らは異例ながら、国防軍士官育成学校の訓練官に任命された士官候補生だ。心して訓練に励め」
担当教官の言葉に揃いの制服を着た士官の卵たちは、まったく同じ動きで敬礼した。