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私が召喚したのは天使なのだろうか!?  作者: 澤田とるふ
学園生活編
8/32

7.はじめての模擬戦 上

上、中、下となる予定です。

続きは明日、いっきに読みたいという方はどうか明後日までお待ちを・・・。

 特別教室、そこは広い部屋の中心に少しだけ高さのある土台があり、土台自体に魔法陣が書かれている。

 その周りにも魔法陣が書かれた柱が建っており、何らかの効果を付与しているのだろう。


 そんな教室に集められたBクラスの面々。

 自分たちの従僕を連れて、土台の上に立つ初老の担任教師、ティーチの声に耳を傾けていた。


「ここが模擬戦などを目的とした特別教室です。種族別の特技の練習などは別の教室がありますので、主に対人、対従僕の訓練に使われたり、学内で許可されている決闘や、授業でも今回のような模擬戦に使う教室です。この舞台及び、周りの石柱には高位の時空間魔法がかけられており、致死攻撃を感知すると、強制的に時空間魔法を発動させ、対象者達を外に転移します。なので、そうそう模擬戦で死ぬようなことはありません。ただし、時空間魔法は舞台でのみ効果があります。ですので、基本的に場外も負けとなります。」


 舞台や設備について説明してくれているが、それより気になるのがティーチ先生の後ろにいる大きな筋肉隆々のおじさんだ。私達が来たときにはすでに舞台の上で腕を組んだ状態で立っており、ティーチ先生が説明をはじめると同時に、なぜか上半身の衣服を脱ぎ去り、ポージングをはじめた。

 この説明の間も、真面目に説明する先生の後ろのなぜかポーズを変えて、肉体美をアピールしている。


「もちろん、絶対に死なないわけではありません。なのでここでの授業ではそれほど危険なことはしませんが、決闘や模擬戦前には誓約書を書いてもらいます。死亡はあくまで自己責任になりますのでお忘れなく。ちなみに、今回の模擬戦では戦うのは従僕だけですが、誓約書は必要です。書きたくない人は別に棄権してもかまいませんが、その変わり従僕と一緒に特技と一発芸を披露してもらいましょうか。何もしないのは不公平ですしね。」


 大事な話をしている気がするけど、後ろで絶えずポージングをとる上半身裸のおじさんが気になって集中できない。なぜティーチ先生は何も言わないのか、なぜポーズを取るのか、なぜそこにいるのか、なぜ頭頂部にしか髪がないのか、疑問が尽きない。


「では、さっそくですがトーナメントとしましょうか、えっと・・・あ、その前に紹介しましょう。私の後ろにいるのが、私の契約従、地の天使ダンディ、第5位の天使です。」


 後ろでポーズをとっていたおじさんが、ティーチ先生の横に移動し、更にポーズをとった。


 ・・・天使だと!?


 驚いたのは私だけじゃない。その証拠にざわつくだけじゃなく、「うそだろ?」、「天使!?」みたいな声が上がっている。


「驚くのは無理もない、天使は珍しいですからね。しかしながら事実です。私の従僕は戦争で死んでしまいましたが、その後、召喚に応じてもらい、契約を結んだのです。ダンディ。」


「吾輩、ティーチの契約従のダンディである。以後、このクラスの授業にも参加するゆえ、気軽に話かけるがよい。」


 そういって、なぜかポージングする自称天使。

 羽も天使の輪もないけど、たぶんセロのように消しているんだろう。

 にしても・・・よかった。天使は天使でも、あんなんじゃなくて・・・。

 本当に、セロでよかった。


「なんだよ?」


「ううん。ありがとうね。」


「?」


 見つめていたのを不思議に思ったのか、声をかけてきたセロについついお礼を言ってしまった。

 首をひねっている仕草も可愛い。よかった・・・本当に。


「それではトーナメント表を発表する。ダンディ。」


「これである!」


 そういうと、ダンディはズボンの中から、1枚の布を取り出した。

 その行動に悲鳴が上がる。

 なんてところに収納してるの!?


 ダンディが出した布にはなぜか手書きでそれぞれの生徒の名前が書かれていた。

 たぶん席順だ。私のはじめの相手がミリアさんだし、他の子達の名前からしてもそんな感じに見える。

 わざわざ布に書く必要があったのか謎だ。


「お手柔らかにお願いしますね。」


 ミリアさんがそういうと隣やってきた。まずは一緒に観戦しようということなのだろうけど、肩に従僕の虫が乗っているので、つい距離をとってしまう。


「とりあえず、座って観戦しないか?」


 セロに言われて私達は席に着いた。

 自由に座っていいらしく、舞台の周りの長椅子に腰掛ける。

 私、セロ、ミリアさんの順だ。

 なんとかセロを盾にすることに成功した。


「みなさん、強そうな従僕ですよね?」


 ミリアさん、私からすればあなたの従僕が一番の恐怖です。

 ざっと見回した限り、虫の従僕を持っているのはミリアさんだけだ。


「最初は・・・ハイウルフとフライトボアか・・・。」


「ご存知なのですか?」


「ハイウルフは見た目通り、狼の上位種ででかくなっただけ、フライトボアは一見ただの小さな猪だが・・・ボアの勝ちだな。」


 セロが説明をしてくれ、ミリアさんが感心したように聞いている。


「え・・・あの小さな猪・・・というか豚?の方が勝つって?」


 私もきいたことがない種族だけど、この模擬戦は間違いなくハイウルフの勝利だろう・・・狼と猪だと狼の方が強そうだし、体格も3倍以上、狼の方が大きい。

 ていうか、あれって猪じゃなくて豚だよね、牙とかないし。


「まぁ、見てればわかる。」


 セロがそういうと、模擬戦が始まった。


「それでは・・・ファイッ!」


「いけっ!シザー!」


「がんばって!ミントちゃん!」


 いつの間にか、なぜかピチピチのタキシードに着替えたダンディが舞台の真ん中で手をクロスさせる。

 それを合図に、それぞれの主が号令をかけた。

 細かな指示を出すわけじゃなく、基本的な戦い方は任せるらしい、私は従僕と意思疎通というか会話できるのでそのあたりはよくわからない。


 シザーと呼ばれたハイウルフはまっすぐにミントちゃんと呼ばれたフライトボアに迫っていく。

 ・・・ミント?なんて可愛い名前を・・・。


 一瞬ともいえる時間で距離を詰めたシザーが噛み付こうと大きな口を開けた。

 完全に狙いはその小さな身体だ。

 もう一回り大きければ、丸呑みもできそうなぐらいの体格差だった。


「きゃあ!ミントちゃん!」


 ミントちゃんの負けを主ですら予想したのだろう。

 だけど、予想はあっさり裏切られた。

 一瞬でシザーの口が噛み合わさるが、そこにミントちゃんの姿はない。


「上だ。」


 セロの言葉につられて上を見ると、大きく舞い上がったミントちゃんが見えた。

 そしてそのまま、急降下し、まっすぐにシザーに突っ込んでいく。

 シザーはミントちゃんを完全に見失っており、キョロキョロしていて避ける様子もない。

 直撃すると思った瞬間に、シザーとミントちゃんの姿が消えた。


「勝負あり!勝者!ミント!」


 ダンディがミントちゃん側に向かって、勝利のポーズを決める。

 よく見ると舞台の左右にそれぞれシザーとミントちゃんが移動していた。


「今のが致死攻撃の場合の時空間魔法です。いきなり見ることになるとは思いませんでしたが。」


「そんな、シザーがブタなんかに・・・。」


「負けたくせに、ミントちゃんを悪くいわないで!」


「模擬戦ですので、遺恨を残さぬよう。先にいっておきますが、これから貴方達は、従僕の扱い方を学んでもらいます。いろんな種族を知り、特性を知ることで有利に動くことも、相手の弱みを見極めることもできるようになる。今は稚拙な指示でも、きちんと訓練すれば勝敗は簡単に逆転します。勝った方もおごらず、負けた方は更なる努力で見返してください。」


 ティーチ先生の言葉に模擬戦を終えた二人もうなづいていた。

 ・・・相変わらず舞台でポージングするあの変な天使さえいなければよかったのに・・・。


「続いての試合といきましょうか。」


 そうやって試合はどんどん進んでいった。

 もうすぐ私の横にいるセロも舞台に上がることになる。





<Selo>--------


 繰り広げられる戦いを見るが、どれも獣そのものの戦いだ。

 種族を見れば優劣がわかるので勝ち負けもだいたい予想通り。


 従僕の主も具体的な指示はほとんど出していない。

 聞き分けられないからか、戦い慣れていないからかはわからない。


 正直、あまり面白みもないが、模擬戦というだけあって平和的だ。

 たまにメリットとミリアが種族などを聞いてくるが、基本的に見入っていた。

 そんなに楽しい見せ物だろうか?


 あの教師が毎回教訓じみた言葉を挟んでいるところをみると、ようするにこれもれっきとした授業なのだろう。ということは勝利もそうだが、どちらかというと他の生徒にも教訓となるような勝ち方をした方が後々の評価もいいのではないだろうか?

 教師の意図を汲む方が、色々と頼りにもされ、一目置かれそうだ。

 ・・・メリットのためにも教訓にしやすい勝ち方をしなければ。


 それにしてもあの土の天使、なんで土属性はああもみんな暑苦しいのか。

 そういえば、属性がつく第6位からあんなのばっかりだった気がする。

 懐かしくて少し笑ってしまった。


「セロ?」


「なんでもない。」


 そういえば、さっきからメリットがたまに変な目でこちらを見てくるのはなんなんだろう?

 審判をしているあの天使を見たあとに俺を見ていることが多い気がするが・・・。

 まさか、ああいう天使が好みだったのか?・・・確かに俺の見た目はあれと正反対だ。


 考えてみれば、メリットの好みを聞いていなかった。

 いい相手を見つけるにもメリットが幸せを感じられるように見た目の好みも大事だろう。

 これはいいことを知った。

 ああいう天使のような体型が好みだったとは・・・思えば今まで異性の話をしているころは見ていない。

 近くにそういう対象がいなかったからなのか。


「なるほど。」


「どうしたの?セロ。」


「いや、なんでもない。次はもう試合か。」


「お手柔らかにお願いしますね。」


 好みは詳細検証する必要があるが、とりあえずは試合に集中しよう。

 教訓を与えられる勝ち方・・・うーん。


マッチョ天使がする勝利のポーズ=Lightning Boltのポーズです。


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