第六話 魔神タイランの居城
早めに書き上がったので投稿します。
魔神タイランが住んでいた居城は、グロリア王国の北東の樹海の奥深くに建てられてい
た。
アルとハボアは十日以上を掛けて樹海の手前の街、ケサラで冒険者ギルドに寄り、
魔神タイランの居城がどうなっているかの情報を仕入れた。
ギルド職員の話だと城は過去、勇者と魔神との戦い以降、何組かの冒険者が調査に入
ったが特にめぼしい発見の情報は無く、今現在、魔神タイランの白骨化した死体があるだ
けで特に変わった事も無いと言うものっだった。
魔神タイランの居城は、此のケサラの町から樹海の中を歩いて四日の距離。
アル達は宿を取り、食料等補充して今日一日休んでから翌朝の早朝に出立する予定
だ。
アルとハボアは夕食を摂った後、早々に休む事にした。
「父さん、魔神タイランの城ってどうなってるの?」
「ん? そうだなあ、俺とイオルが城に入った時には防犯用のゴーレムが在ったが全部壊
したし、魔獣や魔物避けの結界が張り巡らされていてそれらの心配はない。ギルドで仕入
れた情報に間違いがなければだが。ただ、樹海の中は奥に行けば行くほど強い魔獣や魔
物がいるが、上級の移動結界魔道具が使えるし、俺が作った地図型魔道具を使えば樹海
で迷う事も無い。その辺の心配もいらん。」
移動結界魔道具とはその名の通り結界を張りながら移動出来る魔道具の事で、ランクが
上がれば上がる程、強くて危険な魔獣や魔物等から身を隠す事が出来る。その代わり、お
値段は高い。
地図型魔道具はアルが製作したオリジナル魔道具でどんな地形や建物、隠された場所
等、瞬時にマッピングして知らせる優れ物である。ただ、此の魔道具を作るのに使った金
が大金だった為、ルビアに丸一日こってり絞られた苦い経験がある。
「財宝とかは無かったの?」
「いや、珠紋術に関する資料があった位だな。当時、まだ地図型魔道具がなかったからも
しかしたら隠し部屋があるかもしれん。おっと、もうそろそろ寝たが方いいな。明日は早い。」
「わかった。おやすみ、父さん」
「ああ、おやすみ」
翌日、朝日が登る前に宿を引き払い、魔神タイランの居城に向かった。
魔道具のお陰で道中、特に危険に見舞われれる事は無かったので此処では省略する。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――魔神タイランの居城――
「大っきいな……」
目の前の城を見上げ呟くハボア。
城壁に蔦が生い茂り、城は不気味な雰囲気を醸し出している。
「うむ、ギルドで聞いた通り城の結界はまだ稼働しているようだ。なら中はそれ程危険は無
いだろう」
樹海の奥に来た冒険者が危険を避け、雨露を凌ぐの時々使用されているという話をギル
ド職員から聞いていた。
「中に入って珠紋が在るか確認するぞ。タイランの死体は最上階の謁見の間の様な部屋
にある」
二人は城の大門を潜り中へと入っていく。
「こっちだ。この大広間の階段を登って廊下の奥にある階段を登って行けば、タイランの死
体がある部屋に辿り着く」
二人は油断せず慎重に危険が無いか目的の場所に進んでいく。
「此処だ。この部屋が魔神タイランの死体がある部屋だ」
アルが扉をそっと開け、中の様子を伺う。
部屋の中央には白骨死体が在った。
魔神タイランの死体だ。
アルは部屋に入り、魔神タイランの死体の側まで近寄る。
続いてハボアが部屋に入り、アルの側まで近づく。
魔神タイランの白骨死体を見る。
魔神タイランは魔族だった。
魔族は強さのランクに合わせて魔王、魔神等の二つ名で呼ばれるようになる。
白骨化したタイランの死体の服を漁る。
所持品は無かった。
「くそっ! 無いな!」
「グロリア王の配下が持って行ったんじゃない?」
「いや、それは無い。あいつら、異世界転移魔法の資料を根こそぎ回収したらとっととケツ
まくって逃げやがったからなあ。となると、此処に来た冒険者が持って行ったか?」
「……父さん、念の為、珠紋検知器でこの部屋調べて見よう」
「そうだな……」
説明しよう!
珠紋検知器とは珠紋が発する波動を調べ、何処に在るかを発見する魔道具である!
ハボアはバックパックから手のひらサイズの長方形の形をした珠紋検知器を取り出して
起動させる。
ピッコン、ピッコン――
珠紋検知器で部屋の中を調べていく。
ピッコン、ピッコン、ピコ、ピコ、ピコ――
検知器の反応が強くなる。
ピコ、ピコ、ピコピコピコピィィィィィィ――
部屋の端の方、壁と床の隙間に差し掛かると反応がピークに達する。
「! 此処に珠紋反応がある!」
壁と床の隙間に何やら入り込んで挟まっている。
それを取り出すハボア。
珠紋だった。
「おお! 此れが異世界転移珠紋か!」
「一応念の為、他にも無いか探してみる」
「頼む、ハボア」
ハボアは検知器で部屋を隈なく調べてみる。
アルは見つけた珠紋を小さな革袋に入れて懐に大事に仕舞いこむ。
「ん?」
アルは不意に広げていた地図型魔道具に目をやりそれに気づく。
「どうしたの、父さん」
と、其処へ部屋を調べ終わったハボアが遣ってくる。
どうやらこの部屋には他に珠紋が無いようだった。
「いやな、地下に隠し部屋が在るようなんだ」
「隠し部屋?」
「とにかく行ってみよう」
アルとハボアは荷物を纏め、バックパックを背負い地下に向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
地下に続く階段は薄暗く、ランタンに火を灯し階段を降りていく。
地下は二階層の造りになっていた。
地下一階には地下牢が並んでいて、地下二階は倉庫らしき部屋なっていた。
倉庫内は荷物が散乱していて、隠し部屋らしき部屋は倉庫の奥の壁の先に在るようだっ
た。
アルがトラップが無いか慎重に壁の造りを調べていく。
すると、壁の一部がスライドする事を発見した。
アルは寄木細工の秘密箱のよな仕掛けを壁をスライドさせて解いてい
く。
壁をスライドさせていくと、窪んだ空間が現れ、レバーが中に仕込まれていた。
アルはそのレバーを思い切って回した。
すると、壁は中央から割れて横にスライドしながら開いていく。
「おお!? これは!」
隠し部屋の中には金銀財宝や武具、魔道具等に使える素材がてんこ盛りだった。
「すごい……」
二人はしばし無言になった。
「しかし、さすがに此の量のお宝を持って帰れんな……」
此れ程の財宝を持って帰るだけの手段がない。
在ったとしても此の量の財宝を持ち帰ったら悪目立ちしてトラブルに巻き込まれる。
だから今回二人は財宝を諦める事にした。
「ハボアよ、此の事は秘密だ。余計なトラブルを引き起こしかねん」
アルはハボアに堅く口止めした。
「わかってる、父さん」
アルは壁の仕掛けを元に戻すと城から出た後、帰りに魔獣や魔物を狩る。
手ぶらで帰れば他の冒険者やハンターに怪しまれる。
その為の処置である。
アルとハボアは魔獣や魔物の素材を剥ぎ取りケサラの街に戻った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
一方その頃のイオリは、
「お前! オレの子分になれ!」
村長の息子に絡まれていた。
次の更新は一週間以内に更新します。




