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ブレイブエンブレム ~僕、勇者なんて出来ません!~  作者: 真田 貴弘
第一章 偶然か必然か
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第四話 悲しい真実

 イオリの朝は早い。日の出と共に起きて朝食の準備をしているルビアを手伝う。

 家の家畜小屋から鶏の卵を人数分取って来てルビアに渡す。

 そして減っている水瓶の水を足した後、アルの指導の下、武術の鍛錬をハボアと行う。

 この世界は日本と違い何かと物騒である。

 強盗、盗人、盗賊、魔物や魔獣の襲撃は良くある事。

 酷い場合は村ごと襲われ一人残らず皆殺し、なんて事もある。

 イオリ達の場合はそれに加えて、魔道具の素材を採取する為、時には危険な魔物や魔

獣達を相手にしなくてはならない。

 自衛と相手を倒す為の手段として技術や知識をアルから学んでいる。

 朝食の準備が出来れば鍛錬を終え、朝食を摂る。

 食後、しばらく休憩した後、魔道具作りの修行に取り掛かる。

 アルとハボアは、優しく丁寧に、時に厳しくイオリを指導する。

 その甲斐あって、イオリは魔道具作りの基礎であるスキル『道具作り』を覚えた。

 ちなみに、最大成長限界レベルはAだ。

 さすがに全ての能力がLではないようだが、それでも一流になれるレベルなのだ……。

 ついで言うとアルとアルとハボア、ルビアのステータスレベルは以下の通りである。


名前 アルノート


 年齢 八十六歳


 生命力 A(Max A)

 魔力   A(Max A)


 能力総合評価 B(Max B)


 スキル

  格闘術 E(Max E) 剣術 C(Max C) 斧術 B(Max B) 槍術 B(Max B)

  斧槍術 A(Max A) 槌術 B(Max B) 棒術 D(Max D) 弓術 C(Max C)

  盾術 C(Max C) 道具作製 S(Max S)魔道具作製 S(Max S)

  珠紋作製 S(Max S) 珠紋術 A(Max A) 


 称号

  超一流道具職人 超一流魔道具職人(二つ名 銀蝋) 上級珠紋術 

  S級冒険者(二つ名 銀閃) 冤罪の魔道具職人 イオリの師匠




 名前 ルビア

 年齢 七十六歳


 生命力 F(Max D)

 魔力   S(Max S)


 能力総合評価 E(Max C) 


 スキル

  護身術 D(Max C) 家事 A(Max A) 珠紋術 S(Max S) 酒豪 S(Max S)

  酒造り S(Max S)


 称号

  元王族のお姫様 最上級珠紋術師(二つ名 白昼の悪夢) 専業主婦の鏡 酒姫




 名前 ハボア

 年齢 四十歳


 生命力 C(Max A)

 魔力   B(Max S)


 能力総合評価 D(Max B) 


 スキル

  格闘術 H(Max G) 剣術 D(Max C) 斧術 C(Max B) 槍術 C(Max B)

  斧槍術 S(Max S) 槌術 C(Max B) 棒術 F(Max D) 弓術 E(Max D)

  盾術 E(Max C) 道具作製 A(Max S) 魔道具作製 A(Max S)

  珠紋作製 A(Max S) 珠紋術 A(Max S) 


 称号

  王族の血を受け継ぐ者 上級道具職人 上級魔道具職人 上級珠紋術師

  A級冒険者(二つ名 雷獣)  アルノートの弟子


 ちなみに、イオリの祖父はアルノートと同じ年齢で、実はクオーターエルフなのだ。

 エルフの血を引く為、見た目は未だ二十代に見える。

 ドワーフやエルフ等の妖精種族の寿命は大体六百歳位。

 成長速度は十代後半から三十前位で成長が緩やかになる。

 獣人種と人族は百歳前後。

 成長速度は地球の人間と同じ位。

 魔族の年齢は不明で、千歳とも寿命は存在しないとも言われ不明である。

 ただし、生命力と魔力レベルが高ければ高いほど寿命が延び、歳も取にくくなる。


 この世界は二十四時間で一日、六日で一週間、三十日で一月、十三月で一年の巡り

である。

 基本、休日は週末最後の日の一日だけである。


 イオリがこの世界に遣って来て丁度一月が()っていた。

 旅客機JL815便の残骸は噂を聞きつけた王国軍が一つ残らず接収していった。

 イオリはアルノート一家での生活が慣れてきて言葉遣いも十歳の子供らしく碎けた話し

方をするようになった。


 アルは作業をしながら自分の嘗ての幼なじみにして大親友とイオリの事を考える。

 イオリの話と状況から以下のことを推測した。


 1、イオリが空飛ぶ乗り物、確か飛行機だったか?に乗っていて何事かあり、飛行機と

   やらが壊れた。


 2,その残骸と共にこの世界に来たのは間違いなくブレイブエンブレムの力に導かれて

   のことだろうが、アルノートの近くに来たのはただの偶然。


 3,話の経緯から異世界にいるイオルはイオリがこの世界に来ている事を知らない。


 とまぁこんなものだろうか。


(それにしてもイオリの能力測定の時は度肝を抜かれたな……。あの後、測定器が壊れた

のかもと思って分解して調べてみたが以上は無かった……。ブレイブエンブレムを持つだ

けの事はある能力の高さだ。だが、ブレイブエンブレムを外した方が能力とスキルの限界

値が測定範囲を超えとった。まさか、冗談で付けた測定器のL級判定測定能力が働くとは

思わんかった……。(ちなみに、普通の測定器はS級までしか測定できない。L級なんて

出ることは無いのだから当然だろう)しかも、ブレイブエンブレムを身に付けていると戦術

系スキルが外すと魔道具製作等の別のスキルに変化した。これはブレイブエンブレムを外

した状態が、イオリ本来の能力だということになる。ブレイブエンブレムは勇者の力の源と

どの伝承でも記されていたが、能力やスキルの変化を見るにどちらかと言えば力の(かせ)

封印のように思える……。あああ~、これは俺の専門じゃなくて、どちらかと言うとイオル

の専門なんだがどうにかあいつと連絡とれんもんかなあ―。)


 と、アルは長い思考の末、作業の手が止まりいつの間にかイオリを見つめていた。

 自分を見つめる視線にイオリは気づく。


「? どうしたの師匠?」


「あ、いや、何でも……ちょっと待てよ。もしかしてブレイブエンブレムの珠紋を使えば同じく

ブレイブエンブレムを持つイオルと連絡出来るかも! イオリ! ブレイブエンブレムの珠

紋でイオルと連絡取る事は出来んか?」


「! 試した事無いけどやってみる!」


 イオリは珠紋を握りしめ、珠紋術の要領で珠紋に魔力を流し、祖父イオルの事を一心に

念じた。


『………だ…の……ぶのは! ……だれだ! 私の頭の中に呼びかけてくるのは!?』


「お祖父ちゃん!」


『!? イオリ! イオリですか! 生きていたのですねイオリ!』


「イオリ! 成功したのか!」


「うん! 師匠! お祖父ちゃんと話が出来たよ!」


『イオリ、誰と話しているんですか?』


「お祖父ちゃんの友達のアルノートさんだよ!」


『何! どういう事ですイオリ! アルが……アルノートが何故、そこにいるんです! もし

かして其処はグロリア王国なのですか!?』


「うん! そうだよ! アルさんが僕を助けてくれたんだよ!」


「イオリ、俺の声をイオルに届ける事が出来るか?」


「やってみるよ!」


 珠紋に魔力を流しながらイオリは自身が想像した力を珠紋から引き出す。


「イオルよ、聞こえるか!」


『アルか! 懐かしいですね! 元気にしていましたか!』


 イオリは祖父の声をアルに直接届ける事に成功した。


「魔神との戦いで死んだと思ったぞ!」


『いやぁ~、魔神タイランが死の間際、異世界に転移させる珠紋を発動させて私を異世界

に跳ばしたんですよ。そちらの世界に帰ろうにも帰還方法がなかったんです。心配かけて

すみませんアル』


「お祖父ちゃん! お父さんとお母さんがどうなったか知らない? 僕一人だけで、此処に

は居ないんだよ!」


 イオリの悲痛な呼びかけにイオルはしばらく無言になったが、意を決して言葉を吐き出

す。


「イオリ、落ち着いて良く聞きなさい。……お前達が乗っていた旅客機は中国所属の戦闘

機のミサイルで撃ち落とされ空中で爆発、お前以外乗客は全員死んでしまった……。お

前の両親、(れい)(しずく)さんも死んでしまった……」


「!? そんなの! そんなの嘘だぁぁぁー!」


『イオリ! 落ち着きなさいイオ……』


 イオリは手に握っていたブレイブエンブレムの珠紋を落とし、床に蹲って泣き叫んだ。

 

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