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ブレイブエンブレム ~僕、勇者なんて出来ません!~  作者: 真田 貴弘
第二章 巣立ち
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第二話 中野教練学校 1

 お待たせしました。

 長くなるので分割しましす。

 ネージュの家に夕食を招待されたイオリはネージュとイシュファラの三人でネージュの作った食事を楽しんでいた。

 ネージュはイオリの心を掴む為、暇を見つけてはルビアに料理を教わっていたのだ。


 そのネージュも今年で二十歳。

 本来なら嫁入りしている年齢だ。

 決してモテ無い訳では無い。

 誰もが見とれる美貌、美しい体型、気立てが良く面倒見もいい、三拍子揃っている彼女に死角は無い。

 

 だが、ネージュは持ち込まれる縁談を断っている。

 全てはイオリを落とす為である。

 イオリほど好条件の相手は存在しない事は無い。

 でも、どうせ嫁ぐならイオリが良い。

 何せイオリは年々、ネージュ好みに成長しているのだから。

 イオリも自分を憎からず思ってくれている様だし問題は無いはず。


 問題があるとすればネージュの義妹イシュファラの存在だ。

 彼女もネージュに負けず劣らずの美しい容貌の持ち主、プロポーション抜群、難点は人見知りでネージュとイオリ以外に心を開かない事である。

 その為、本来ならシモン教の司祭となり聖女として本殿に籍を置くはずが、それを蹴って丁度空きのあったこのベルンの港街に赴任したのだ。


 ちなみにイシュファラのステータスレベルは、




 名前 イシュファラ

 年齢 十七歳


 生命力 C(Max S)

 魔力   S(Max S)


 能力総合評価 S(Max S) 


 スキル

  鎚術 B(Max S) 珠紋術(地、水、光、闇) A(Max L)

  珠紋術(無、火、風) D(Max A)


 称号

  シモン教の司祭、シモン教の聖女




 シモン教ではイシュファラのステータスレベルは秘匿されている。

 何せ伝説のランクL級のスキルがあるのだから。

 しかもシモン教の神、シモンと同じ光、闇属性である。

 その為、イシュファラは《シモン教の聖女》の肩書を持つ。


 イシュファラは赤児の頃に孤児院に預けられ育てられた。

 イジメにもあいすっかり心を閉ざしてしまった。

 その時期に人買いに売られ、その途中に人喰いに襲われた。

 人喰いから必死で逃げた。

 でも逃げきれずもうだめだと思った時、イオリが身を挺して命ちを助けてくれた。

 人生で初めて人に守って貰った。

 その経験がまるで雛鳥が初めて見たものを親として認識する、いわば刷り込みのようなものでイオリに懐いたのだ。


 しかし、今は違う。

 イシュファラも年頃になりイオリを異性として意識し始めた。

 これはネージュにとって脅威である。


 事、イオリについてお互い譲る気は無い。

 だがこのままでは膠着状態となり、お互い進展し無い処か行き遅れになってしまう。

 それならまだ良い。

 最悪、イオリを第三者に奪われる可能性がある。

 それだけはなんとしても避けたい。

 その予防策として妥協点が無い事も無い。

 

 それはイオリがリヴァイヴスタッフの古文書を調べるためやもなくシモン教に入信し、信者になった事で可能になった事。

 それをもって三人が幸せになれるのだ。

 ただし、イオリとイシュファラが同意すればの話ではあるが……。


 などとネージュが考えを巡らせてる間、イオリとイシュファラはお互いの明日の予定の話となった。


「イー君、明日の予定忘れて無い?」


「もっ、勿論! 流石にそれは無いよ」

 

 イオリは現在中野教練学校という、幼稚舎から大学まで一貫した教育を施す日本政府主導の未来のエリートを育てる学校で、特別講師として大学部の生徒に魔道具について教えている。


 この学校、とある県のとある学園都市にあるのだが、この都市には外国人は勿論、帰化した外国人も特別の許可無くして立ち入る事が出来ない都市なのだ。

 

 実はイシュファラ、イオリの助手として手伝っている。

 耳や尻尾はイオリの作ってくれた、ちょっとした変身の能力が付与されたイヤリングを身に付ける事で隠していた。

 その日が明日なのだ。


 これにはグローリア王国も人材交流の一環として珠紋術とその研究に協力していた。


「それにしても、幾ら総理大臣だからって僕の講師代にアレを貰えるなんてリュギョクの爺様、とんでもないことするなあ……」


「イー君の講師の報酬って確か日本の昔の空飛ぶ船?」


「船じゃなくて飛行機――戦闘機何だけどね。 日本が昔の大きな戦争で負けて七十年近く、その時に敵国だったアメリカに接収されたヤツをくれって言ったらホントに貰えたのは僕もビックリだよ!」


 イオリが総理大臣リュギョク タカマサがに講師の報酬として要求したのは、試作型局地戦闘機『震電』である。

 震電二機作られたが日本敗戦後、その内の一機はアメリカ軍立ち会いのもと廃棄処分にされ、もう一機はアメリカ合衆国に接収されて分解、研究されたが今現在、スミソニアン航空宇宙博物館の倉庫に分解状態のまま保存されていたのである、


 それを駄目元でイオリは要求したのだが、タカマサは二つ返事で引き受けたのだ。

 勿論、震電を手に入れるのにそれなりの外交交渉は必要であったが、七十年も経てば震電は最早ガラクタの骨董品。

 アメリカにとってもなんの価値もなかったのですんなり引き渡された。


 それをイオリは譲り受け、復元、改良してみせた時、日本ではちょっとした話題になった。

 ちなみにイシュファラへの報酬は、教団に対して医療技術、薬品等の提供である。

 イシュファラ個人には支払われないが、イオリと一緒に入られる事自体がご褒美なのでイシュファラには何の不満も無い。


「処でネージュさん、 うちの国の勇者って、今何やってるんですか? 僕が受けた人喰い討伐の依頼って本来、勇者ファイに出されるはずのものですよね?」


 ネージュは肩をビクリッと震わす。


「それだけは聞いて欲しくなかったわ……」


 溜息を吐き、肩を落とすネージュ。


「勇者ファイ――ファイは式典や貴族間で行われるパーティーには参加しているけど、勇者の本分たる学習や訓練、魔物退治に至っては健康上の理由で欠席――サボっているわ……。 そのせいで、せっかくのステータスやスキルが殆ど成長してないそうよ。 成長したのは話術とダンス、それに……女性の手篭めの仕方ね……」


「そんなに酷いんですか……」


「お陰で他国の王族や勇者達からは冷たい目で見られ、グローリア王国は勇者に関して言えば他国より肩身の狭い思いをしているわ。

でも、イオリ君のお陰でそれも最近マシになってきた方よ!」


「僕の? 何でまた」


「貴方、勇者でも無いのに単独で人喰いや果てはドラゴンをも単独で討伐して来たじゃない! その御蔭でうちの国、勇者はあんなだけど、貴方の功績で何とかその辺の処を持ち直してるのよ。 他国の王族や勇者も貴方には会ってみたいと打診を受けているそうよ」


「勘弁して下さい! 俺そういうの駄目なんですから!」


「はあ……、貴方ならそう言うと思ったわ。 でもね、いずれそうも言っていられなくなるから覚悟だけはしておくのよ?」


「そんな~」


 などと食事中の会話を楽しむ。

 食事も終わり歓談した後、夜も更けてきたのでイオリは自宅に帰宅する。


「ネージュさん食事美味しかったです。 また、腕を上げましたね。 ご馳走様でした」


「ありがとうイオリ君。 今度も腕によりをかけて作るから、また食べに来てね♡」


「楽しみにしています。」


 イオリはネージュに答えながらイシュファラに向き直る。


「それじゃあイシュファラ、明日、いつもの時間でゲートで待ってるよ」


「うん、イー君、また明日」


――そして翌朝、イオリとイシュファラはグローリア王国、ベルンの港街にある国の最重要研究施設の地下最深部に来ていた。


 ここにグローリア王国最重要機密、異世界への門――『ゲート』が存在するのだ。


 「それじゃあ、行こうか? イシュファラ」


 イオリはイシュファラの手を取り、ゲートを潜るのであった。


 次回は一週間以降の予定です。

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