自由猫、留守番と大きな決断。
妹のことはこれでもよく知っている方だ。
そりゃ14、5年一緒にいるわけだしな。
妹が何か嫌なことがあったり喧嘩した時、いつも行くところがある。
まぁ、簡単に言ってしまえば近所の公園だ。
そこのベンチに一人で座っていつも空を見ているのだ。
いつもだったら迎えに行ってそれで終わりなんだが、今回はちょっと厄介だな。
「やっぱりここにいたんだな。」
夏菜はいつものように空を眺めていた。
「話しかけないで、変態。」
「それは誤解だって。」
「何がよ。初めて会った人と一緒に寝るなんて。変態としか言えないわよ。」
「それには訳があるんだよ。」
「別に聞きたくない。」
「なあ、夏菜・・・」
「話しかけないで!!!」
「・・・・!?」
夏菜は怒鳴ってこっちを見る。
目に涙を浮かべて。
「・・・・おい、どうしたんだよ・・・。」
「お兄ちゃんはいつもそう!!私のことはいつも後回し!!
いつも知らないところで勝手に決めて、勝手に一人で何でもやって!!
いつも私に何も言わないし、何も聞いてくれないし、
いつも・・・・頼ってくれないし・・・・
いつも・・・・・・・知らないところに行っちゃう・・・・・。」
「・・・・!!」
あぁ、そうか・・・。
夏菜はとっくに気がついていたんだ。
俺が遠慮していること。
俺が気を使っていること。
俺が逃げていること。
それでもずっと待っていてくれたんだな・・・・。
「夏菜・・・。今までごめんな・・・?
兄ちゃんお前の気持ち何にも考えてなかった。」
「・・・・・うん。」
「ほんとうはさ、いろんな話したかったんだ。」
「・・・・・・うん。」
「でもお前素っ気無かったしさ、嫌なのかと思ってたんだ。」
「そんなことない!」
「うん。そうだったんだよな。お前の気持ちわかってやれてなくてごめんな?」
「・・・・・・うん、うん・・・・。」
「ほら、もう泣くなよ。うちに帰ろう・・・。」
「・・・・・うん。」
とりあえず、一件落着だな。
これで俺と妹のわだかまりもすっかり解消、というわけだ。
めでたしめでた・・・・
「でも・・・・。」
「・・・・ん?」
「・・・・・一緒に寝てたのは許さない。」
「・・・・・・いやだからあれには訳が・・・・。」
「うるさい!!」
「は、はい!!」
また怒ったかと思えば今度は笑ってるし。
ほんとうに気難しい年頃だな、全く。
・・・・・・・
・・・・・・・・・ん?
何か忘れて・・・・・
・・・・・・・あ。
「ああぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うわ!ちょ、なにお兄ちゃん!?」
「涼香!!あいつ家に置いてきちまった!!」
「兄ちゃんの馬鹿!早く行くよ!」
「あ、ちょっと待って・・・。」
猛ダッシュする妹。
後ろを追いかける俺。
まあ、こんなのも悪くないよな。
「・・・お帰りなさい。」
涼香が玄関に迎えに来る。
「・・・・はぁ・・はぁ・・・・ただい・・・ま・・・。」
久々に全力で走ったせいで息が・・・・・。
「お兄ちゃん、遅いよ!」
玄関では先に着いた夏菜が待っていた。
なんだろうこの懐かしくて暖かい感覚・・・。
待ってくれている人がいるってこんなにも暖かいものなのか・・・。
「現役運動部はやっぱり早いなぁ・・・・。」
「当たり前でしょ!」
ちなみに妹はバスケ部の副部長だ。
「ご飯にする?お風呂にする?それと・・・」
「その先は言わんでいい!大体涼香は料理できるのか?」
「したことない。」
「・・・・そうなんですか・・・・。」
「そうなんです。」
そんなに堂々と言われてもな・・・・。
とりあえずリビングでお茶でも飲もう。
今日が休日でよかった。
「ふう、ただい・・・・・ま!!?」
な、なんだこのカオスなリビングは・・・・。
床一面に散らばっている服や本。
割れた皿。フォークが床に刺さっている。
そして大量の服。
服。
服。
子供パンツ。
子供パンツ。
つまりこれらの服は涼香のものだな。
「おい涼香、これはどういうことだ?」
このカオスに既に妹は付いていけず、思考を諦めソファーでくつろいでいる。
「・・・・・お引越ししようと思って。」




