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53 石喰らえぇ!

 占いを信じたことはあるだろうか?


 私は本当の意味で信じたことはないと思う。


 朝のニュースのミニコーナーである星座占いや、雑誌に掲載されていた恋愛占い。


 朝の順位で一喜一憂し、ラッキーカラーを服装に取り入れてみたり。、ちょっとだけ気にして相性をチェックしちゃったり。


 タロットカードを買ってきた友達とやり方が合っているかも分からない結果で「逆位置!逆位置だよ!」と騒いだりして時間を潰し、蹴っ飛ばした靴の着地した向きで明日の天気を決定させる。


 日々の生活に影響はなく、ちょっとしたすぐ終わる話のネタの一つ。


 そんなごくありふれたレベルでしか占いにかかわってないから。


 お店に行ってまで占いを受けようとは思わないし、テレビに出てる凄腕占い師もどこか胡散臭い目で見ていた。


 少なくとも私にとっての占いはそうだった。


 オタクだったからこそ、そんな超常的な力は存在しないんだって割り切っていた。


 そんな考えを根底から覆されたのは本当につい最近のことだ。


 不思議なな力を使えるようになった。世界は崩壊しちゃったけど、その代わりに自称アイドルな女の子とも出会えた。


 魔法はあった。超常現象も。異世界だってある。


 じゃあ占いはどうだろう?


 魔法や異世界に比べて考えてみて?




 そりゃあるよね。


~~~~~~~~~~


 ゴロゴロゴロ~~


 ズザザザサザーー


 叫ぶ力もない。


 私は今山の傾斜を滑り落ちている。転んだとも言う。


 抵抗しようとしたけどよくよく考えたらこれのほうが早く距離稼げるかな?って、あはは。


 エイタ君だけは絶対に離さないようにしながら二人で転がる。


 やがて崖を飛び出した私たちはドスンと地面に落とされた。


 ひゃ~死ぬかと思った。


 エイタ君もえらく頑丈だね。


「ごほっげほっ!うぅ痛い。足折れたかも。。。」


 流石にローリング下山は体に来たようだ。節々が痛い。ていうかよく無事だなって思う。生きているのが不思議なくらい、さすがは異世界フィジカルを手に入れた私たち。まあ足動かないけど。


「ミカ?、、、ミカなのか?!」


 痛む足をさすりながら体の土を掃っていたら後ろから声をかけられた。釣られてそちらを向くとそこにはお父さんがいた。その後ろには村の人たちもゴロゴロといる。


「お父さん?!どうしてここに??」


「それはこっちのセリフだ!いったいどこから落ちてきたんだ?!そんなにボロボロになって、それにあの怪物はどうなった?、、、って、、、エイタ君っ?!」


「ひぃっ」


「なんてこった、、、」


 お父さんがエイタ君を見て驚く。村の人たちも気づいたのだろう。中にはあまりの惨状に悲鳴を上げる人も。子供が見られないように目隠しをしてる人もいる。


 まあそれもそうだろう。彼は今この中で一番満身創痍(ボロボロ)なのだから。あと右肩から先が千切れたように無くなっている。血だらけでもある。ちょっと離れて観たら死んでいるようにしか見えないかも。


「怪物は、、、倒したよ。エイタ君が倒してくれた。」


 エイタ君の頭を優しく撫でながらそう言うと、


 私の言葉に村人たちが一瞬沸くがすぐに静かになる。あの怪物が倒された事は嬉しいが、それを成し遂げた少年の惨状が酷すぎて。もしかしたら死んでいると勘違いしているかもしれない。


「そうか、、、ミカ、、、」


「なにごとだい」


 お父さんが何かを言おうとした時に、村の人たちをかき分けえて一人の老人が出てきた。この村の村長。


「しょうおばあちゃん。」


「ミカ!なんという姿じゃ。それにその少年は、」


 おばあちゃんもみんなと同様にエイタ君の姿を見て険しい顔つきになる。でも私はしょうおばあちゃんの持っている石の様なものに目を引かれていた。


 自然と吸い寄せられた。なんだろう。あの石。心核?違いそう。でも何かを感じる気がする。


 あれは、、、


「ココニイタカ。」


「・・・っ!?」


 その声は今一番聞きたくなかったな。


 私を挟んでお父さん達とは反対側にそいつは降り立った。


 べちょっと爛れた体を潰しながら落ちてくる。


「んなっっ!!?!?」


「なんじゃ、、、」


 そっか、私たち以外がジュプドロンを見るのは初めてだっけ?ってことは、


「あぶぶぶううう」


「オエッ、ウェッ」


「・・・・?!?!?!!?」


 ちらっと村人たちを見たらちょっとした地獄絵図になっていた。


 ある人は泡を吹いて倒れ、またある人は嘔吐する。すぐ気絶できればいいほうでみな絶望にあてられてとんでもないことになっている。


「うぅ、きり、、しま、、、さ、ん。」


「エイタ君?!」


 さらに今まで死んだように気絶していたエイタ君がここで目覚めてしまう。目の炎はさっきよりもずっと弱いのに。


 彼には生きるだけの体力だってもう無いのに。


「ギヒッ、ギヒヒヒ。コンドコソオワリミタイナダ。」


 死にかけのエイタ君。足が折れてしまい動けない私、絶望に飲まれそうな村人たち。


 その状況を見て笑うジュプドロン。


「ひか、り、、」


「エイタ君?どうしたの?」


 か細く震える声でエイタ君が何かを言っている。


 上の空の様な表情で。


 左手を持ち上げ空を掴むように伸ばして。


 私はそんな思わず聞き逃してしまいそうなほど小さい声を聴くためにエイタ君の口元に耳を傾ける。


「ひかりが、まよってる。。。」


「光が、迷ってる?」


 虚ろな瞳で天を見上げているエイタ君がそんなことを言っている。

 一体どういう意味なんだろう?私にはわからない。


 エイタ君の心意をわからずにいると、


「ワレ、ホンカイヲトゲルソウゾウニ」


「あぅ、、、」


 絶対に聞きたくなかった声が聞こえてきた。急いでジュプドロンを見やると、腕をブクブクと膨らませたジュプドロンがこちらに向けて詠唱を唱えていた。


 アレが来る。ここで終わらせるつもりなんだ。全部纏めて。一切合切。


 手詰まりだよ、、、


 もう!!天使はいつ来てくれるんだよ!!もう夜は明けてるんじゃないの!


 うつむいた先にいるのはエイタ君。彼は歯を食いしばり空を睨みつけていた。


「俺に、もう少しでも核力があれば、、、」


「ごめんねエイタ君。私ももう核力がないんだ、、、」


 力ない私でごめんね、、、



 、、、




 ん?


 あれ?核力があればどうにかなるの?どうにかできちゃうの?



 閃いた。


 なんとか、できるかも、、、!



 ――漆黒が村を包み込む。灯る炎を絶やしてはならない。


 ――夜明けを待ちなさい。さすれば鈍い天使が全てを終わらせるでしょう。


 占いの内容を思い出す。


 時間的に夜明けはもう来ていてもおかしくない。しかし”鈍い天使”とやらはまだ現れてはいない。


 それはその前の”灯る炎を絶やしてはならない。”を満たしていないからではないか?


 そして灯る炎がなんなのかを私は知っている。


 エイタ君に核力を渡せればどうにかなる?


 迷っている暇はない!もうそれしかない!


「しょうおばあちゃん!!」


 誰もが絶望に嘆いている中突然声を掛けられたおばあちゃんはビクッと体を震わせて私を見る。


「それを!その石をこっちに投げて!」


 危機的状況に思考が追い付いていないのか、私を手に持った石を交互に見たしょうおばあちゃんに私は急かす様にさらに大きく声を上げた。


「はやくっ!!!」


 私のダメ押しに腕を振りかぶり投げようとするおばあちゃん。しかし歳のせいか肩が上がらなかった。。。


 見かねたお父さんがおばあちゃんから石をひったくると思いっきり振りかぶり投げてくる。


「ミカぁぁああ!!頼んだぞ!」


「ありがとう!」


 ジュプドロンの詠唱はあと数節で完成するだろう。時間にしても数秒とない。


 私は飛んできた石をしっかりキャッチする。触れた瞬間に確信した。やはりこれは”魔石”のようなものだと。


 この魔石があればエイタ君の核力を回復できる!でもあれ?どうやって取り込むんだろう?


 肝心なところを知らなかった。。。えーっと、たしかくーねたんちゃんが前に「体内に取り込むイメージだよ~」とか言ってたっけ?ええいもうわかんない!時間がないんだよ!


 半ばヤケクソとなった私はエイタ君の口を無理やり開き拳位の大きさもある石を突っ込んだ。


「くらえっ!!」


「んががっ!!!」


 それとほぼ同時に詠唱を終えたジュプドロンの声が響き渡る。


千の怒雷 獄弦カールデル・ゲルハハトッッ!!』


 腕の中で白く燃え上がるエイタ君と目の前にまで迫ってくる赤黒い極大の攻撃。


 私の視界は相反する二つの色によって染められて瞬く間に見えなくなった。


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