31 山中の村 2
「先に一つ忠告しておくことがある。」
鉈を持っていた人は村に知らせるため先に走っていった。
俺たちは祐作の先導を受け俺たちはミカの家がある避難集落へと向かっていたその途中、祐作が口を開く。
「忠告?おじさん、村に何かあるの?」
「あぁ、ミカはまあ桐島さんの子供だしもともと村の人間だとして大丈夫だと思うがな、お友達二人は少々厳しいかもしれん。」
「厳しい?いったいどういうことですか?」
「ちょっと前にいろいろあってな。それから外の人間にはかなり排他的っつーか、当たりが強くなったんだ。流れ人もほぼ来ないしな。」
なにがあったのかはわからないが、まあ田舎あるある的な奴だろうか?
よそ者を受け付けないやつ。それにこんな世界になっちまったらますますエスカレートしていてもおかしくはなさそう。
「あまり気にしなくて大丈夫ですよ。元々よそ者なのは自覚していますから。」
「そ、そうか?いや俺らはあまり気にしてないから平気だけど村の連中はやばいぞ?特に年寄り連中には殺されてもおかしくねえ。」
「そこまで?!いや流石に冗談ですよね。」
「いやいや冗談なんかじゃねえ。村のほとんどの連中はそれだけ外の人間を嫌ってるんだ。実際に殺された人もいる。」
雄介は渋い表情で語る。その顔を見るとただビビらせているわけではなく本当なんだと思わされる。え、既に殺されてるの?!
思わずこっちも苦い顔をしてしまった。
「なんか地方の盗賊みたいだね。」
突然くーねがとんでもないことを言い出す。ミカの村の人たちを盗賊呼ばわりとは相変わらずのくーねだな。ってか盗賊に地方とかで違いあるんだ。
急に盗賊(しかも地方の)呼ばわりされたことに祐作も苦笑いだ。
そしてその盗賊の親族がいるミカはというと、
「盗賊!?詳しく聞かせてくーねたんちゃん!どんな感じなの!!」
異世界の話に興味津々だった。凄いねあの子。既に人生で二度も盗賊みたいなもんに襲われてるのに。
ミカとくーねが盗賊の話で盛り上がり始めてしまったので(女の子の会話としてどうなんだ?)俺は祐作から情報を聞くことにしよう。
「あの、祐作さん?でいいですか?さっき聞いた話にあった”白い獣”について詳しく聞きたいんですけど。」
「ん?ああ構わないよ。エイタ君?だったかな。それで、”白い獣”かぁ。あれは、俺も初めて見たんだ。」
あまり思い出したくない話題なのか顔を青ざめながらも祐作は話し始めてくれた。
「といっても遠くから見ただけだからあまり詳しいことは分からないんだ。ただそれを見た時に俺は恐怖した。真っ白い塊のようなものがうじゃうじゃと動いていたんだ。
それが村へとまっすぐ近づいてきていた。あれが村に入ったらおしまいだと思ってね。咄嗟に矢を撃ったんだが簡単に止められたよ。その後姿が消えたからせめて正体だけでもと思って出てきたんだけどね。その途中で君たちにあったんだ。結局正体は分からずじまいさ。」
「そうですか・・・」
(おかしい、どう考えても証言と状況が一致しない。俺の見た目がその白い獣なら何もおかしくはないんだけどな。でも祐作さんは今普通に俺と接しているし。ということは祐作さんは幻覚でもみたのか?またはただ俺に矢を撃ったのを隠すために。いや、俺たちが姿を現す前からあの話をしていたんだしこの線は薄いな。)
「最近は特に多いんだよ。大型の魔獣や、各地で魔女の報告が後を絶たない。騎士団も頑張ってるみたいだけどやっぱり魔王の復活が近いんだろうね。まったくどうなっちまうんだか。」
「まっ、魔王?!え、魔王を知ってるんですか?」
祐作の言葉に思わず驚き大きな声を出してしまう。
まさかこんなところで魔王という単語を聞くとは思わなかった。
というか魔王以外にも魔女だの騎士団だのおかしな単語がぽんぽんでてくるな。ここは異世界か?
「どうしたのエイタ。魔王がいたの?」
魔王という単語に反応してかくーねが纏う雰囲気を変えて聞いてくる。
「あ、いや祐作さんが魔王の復活がどうたらこうたらいってて。」
「なんだい君達、魔王について知らないのかい?」
うーん、考えてみればくーねから軽く話を聞いただけで魔王については詳しく知らないんだよな。もちろんくーねならいろいろ知ってはいるだろうがこの世界に来てからの事は同じく知らないだろうし。
「はい・・・名前くらいなら聞いたことはあるんですが。」
「そうか、いやすまない。ラジオで毎日のように放送されているから知っている物かとつい。」
「え?!ラジオで魔王について放送されているんですか?!」
「ん?ああそうだよ。魔王や魔王軍の動向、幹部がどこに現れたとかの情報は毎日放送されているし、随時情報を求めている。それ以外にも危険区域だとかどこどこに魔獣が現れたとか。魔装の情報なんかも放送されてるんだけど、もしかして知らなかった?」
「ラジオめちゃめちゃ大事じゃねえかよおおおお!!!!」
「ぎゃああぁごめんなさいいいいい!!!」
聞かされた情報があまりにも大事すぎて、またもっと早く得られていたであろう大事な情報を一番欲しがっているであろう誰かさんが「壊しちゃた!テヘペロ☆」で逃してしまっていたと思うとなんだか怒りが湧いてきてついくーねに掴みかかってしまった。
くーねもくーねで自分が壊した物の重大さに気づき震えている。
「あはは~、まあまあエイタ君。ラジオ壊れてなかったらあそこも寄らなかっただろうし、ね?」
「はぁ、まあ今となっては別にいいけどさ。それにしても桐島さんがあの件を前向きにとらえてる方に驚きだよ。」
「終わり良ければ全て良し。みたいな?結果みんなを助けられたし、私達も成長出来ただろうから。」
「まあ確かにな。」
「はっはっは、君達は元気だなぁ。」
騒いでいる俺たちを見て祐作がどこか懐かしむように目を細める。
「そ、そうですかね?」
「ああ、元気だよ。見ているこっちまで元気になりそうだ。本来はこれが普通なんだよな。。。」
一度俺達の顔を見回した祐作は微笑むと先導を再開するため歩きだす。
それにまた付いていき数分。目の前に門が見えてくる。
「あそこが・・・」
それを見たミカが呟く。
自然、足も速くなっていく。
門も前には人だかりが出来ていた。先に帰った人がミカが帰ってきたことを伝えたからだろう。
ということは当然あの人だかりの中にいるわけで。
「「ミカっ!!!」」
ミカの名前を呼びながら二人の人間が、集団から抜け出して出てくる。
おそらくあの二人が・・・
俺は集団の人を見つけて飛び出そうとしていたくーねの首根っこを掴みながらミカに声をかける。
「はやく行ってあげな」
「うん!」
目に涙を浮かべながらも満面の笑みを浮かべていたミカは、駆け出し二人の元へと走っていった。
「お父さん、お母さん!! ただいま!!!今帰ったよ!!」
今週またどこかで更新すると思います!




