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24 生き残りの基地 6

 舞い上がる土煙が閉ざしていた視界を少しずつ晴らしていく。


「やっぱり来てくれたんだね。エイタ君。」


 背後にいるミカが名前を呼んでくるが、その声はとても弱弱しく、また全身を鉄格子のようなもので拘束されていた。


 こんな状態になるまで間に合わなかった自分に苛立ってしまう。


 粉塵が舞う先、爆発により吹き飛ばした東間がいる。

左肩は何かに撃ち抜かれたのか血をだらだらと流しており、炎により皮膚が焼き焦げボロボロになっていた。


(威力が低い、やっぱ一瞬の溜めじゃ少なすぎたか。倒しきれなかった・・・)


「ぐぬぬ、貴様ぁ、よくもやってくれたなぁ。」


 東間は震える指で鍵を構える。

 あれは心核だろう。恐らく鉄格子はあいつが操っている。

捕まってしまう前に、攻めるっ!


 前に飛び出した瞬間地面から鉄格子が飛び出してくる。


「あっぶねぇな!」


 飛び出してきた一本の鉄格子が、東間が鍵を揮う度に蛇のようにうねり襲い掛かってきた。


 しかし速度はそこまで早くはない。くーねとの組手を思い出せば遅いくらいだ。


「くそっ!なぜだっ!なぜ捕まらん!」


 なかなか捕まらないことに焦ってきたのか、出鱈目に腕を振るっている。

それに連動するように鉄格子もぐにゃぐにゃと暴れ出した。


「きゃっ、うぅ」


 ミカを捕まえていた鉄格子も一緒に暴れ出す。


 このままじゃミカが危険だ。無理やりにでも止めないと。


 俺は捕まるのも覚悟で東間へと接近した。

東間は肩からの出血が酷いのが既に顔が青を通り越して白くなってきている。


 眼を見開き涎を垂らしながらも俺を視界にとらえる。


「こぞぉおおお”、お前は!お前だけは絶対に殺すッ!」


 ビシッと鍵を俺に向けると、周りにあった鉄格子も、ミカを捕らえていた鉄格子も、その全てがこちらに向かって飛んできた。


 全方位を囲まれ、まるで閉じ込めるかのように展開される。


「なんだっ、これ。」


「エイタ君っ!」


 まさかミカの拘束を解いてまで攻撃してくるとは予想できていなかった。


 俺目掛けて飛んでくる数本を何とか避け、どう脱するかを考えていると、鉄格子がピタッとその場で固まった。


 やられた。と気づいたのは捕らえられた後だった。

 俺を直接捕らえるのではなく周りを囲まれたことで即席の檻が完成したのだ。


「ははっははははは。バカがっ!お前は一生そこにいろ!惨めに一人何も出来ずに死んでいけ!」


 膝ついていた東間は何とか立ち上がるとふらついた足取りでミカに近づいていく。


 俺が遠距離攻撃できたらまた状況が違うのかもしれなかったのに。


 焦ってとにかくここから出ようと拳を振り上げた時、不意にミカと目が合った。

まっすぐに見つめてくる。その瞳に諦めの色はない。

核力も尽きまともに動くどころか、意識を保つことで精一杯だろうに。


「み、ミカちゃぁん。これでようやく、僕のものに・・・」


 ミカの目線が少し下がる。その視線の先にあるものに気づき、思い出す。


 そうだ。俺には今心核が二つある。バールとハンドスコップが。


 何かできるはずだ。だがバールはまだ能力が分からないし、ハンドスコップも俺じゃ十分に扱えない。


 くっ、どうすれば・・・


 外ではミカと東間が二人きり、今すぐにでもここを出ないとだめだろう。


 わかってる。やはり無理やり突破するしかないのか。

そう思い手に核力を集めていく。


 しかしまた爆破させここを出れたとしても状況はあまり変わらない。


 もう核力の残りも少ないから、無駄には出来ない。

恐らく次の爆発で俺の核力は尽きる。


 考えろ、どうすれば技を使わずにここを出られる?ミカを助けられる?

核力が溜まりきるまでになにか打開策を・・・


「エイタ君・・・」


 はっとして顔を上げる。


 聞こえるかどうか、そのくらい細くか弱い声が俺を呼んでいた。


 ミカを見直すとはっきりと目が合った。力強いその目に諦めの色は、ない。


 伝わってくる。ミカの闘志が。まだ戦っている。


 そうか、そうだったな。

 俺は一人で戦っているんじゃなかった。頼れる仲間がいるじゃないか。


 ”助ける”じゃなくて”助け合う”


 俺は腰に付けていたハンドスコップを手に取った。

 炎を収束させ続けていることでどんどん身体の温度が上昇していき、ハンドスコップにも核力が、炎が伝わっていく。


 心核に核力をチャージでもしていくかのように、注いでいく。

 許容量を超えたのか炎が噴き出し、金属部分が赤熱し始める。

 俺は、それをミカの元へと投げ込んだ。


 放物線を描き、カランッと音を立てハンドスコップはしっかりとミカの目の前に落下した。


「あぁ?なんだぁこれ?」


 しかしそれは東間の目の前でもある。


 ミカがハンドスコップに手を伸ばす。だがそれよりも東間の方が早かった。


「ふんっ。こんなものでどうにかできるとっ!?」


 東間がハンドスコップを手にした瞬間に投げ飛ばす。それもそうだろう。

あれはいま俺の炎を注ぎまくって激熱化してるからな。熱くて持てないだろうよ。


 せっかくミカの近くにあったハンドスコップも東間によって投げ飛ばされてしまった。


 でも、それでいい。だってお前、触っただろ?


「なっ、なんだこれは?!熱いっ!離れろ!!くそっ!」


 東間の手についてるのは白い炎。

ハンドスコップを持ったときに飛び出した炎が取りついたのだろう。

それが手のひらをじわじわと燃やしている。


「どうだ、俺の炎は?」


「?! お前、なぜ外に!?」


 いつの間にか檻の外にいた俺に振り返った東間は驚愕する。


 俺が外に出れた理由?簡単だよ。ただ鉄格子を曲げて出てきただけ。

思いついたのはハンドスコップに核力を注いだ時、赤熱した金属を見て自分の炎が俺が思っているよりもずっと高熱だったことに気づいた。


 金属は熱すると柔らかくなるし、鉄格子ももしかしたらって思いやってみたらなんとか少しだけ曲げることができたんだ。

流石に素の力だけじゃ曲げられないよ。そんなこと出来る人いたら化け物でしょ。


 東間が手をかざそうとするよりも早く拳を振り顔面を殴り飛ばす。


「ぐはっ、、、」

 

 壁にぶつかり座り込む東間。

呼吸も荒く、その姿はまさに満身創痍。


「ぐ、ぐふっ、まだだ、まだぼくは、、、」


 震える指で鍵を掴んでいた手を蹴り飛ばす。

燃えたことで力も入らなかったのだろう。抵抗もなく鍵は飛んで行ってしまった。


「ああぁ、ああああああああっ!」


 右手は燃え、左手も動かない。頼みの心格だってない。

もう勝負はついたと言っていいだろう。


「もうお前は終わりだよ。東間。」


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