7 元、姫 スカーレット・ジャックス=ラフェ・リリー
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「ま、まあ、気を取り直しまして…」
ボクは咳払いをする。
ディゲクァドに呆れたような顔をされているのはいったん気のせいということにしておきまして…。
ボクがディゲクァドに「君も一緒に言うんだよ?」といったらため息をつかれた。腹が立つ。
「「キミに協力を要請します。
起きて? スカーレット・ジャックス=ラフェ・リリーさん」
スカーレットはゆっくりと目を開けて、凛とした声で話し出す。
「先ほどから起きておりますわ。何の用ですh」
「ねースカーレットさーん。なんでベッドで寝ないの?」
「硬いからですわ。」
「お前空気読めよ。」
わースゲー警戒されてるー。
素直な感想を伝えただけなのに…。
まあこれは(´・ω・`)という顔になるのも仕方ない…仕方ないよね?
「なるほど。それでわたくしの協力が必要…というわけですのね。」
スカーレットは数秒考えた。だが、答えはすぐに出た。
「答えはNo、嫌ですわ。」
「なんでぇ?!!」
ここは地下牢なだけによく響く。
ディゲクァドにうるさいとでも言うようににらまれた。
だがしかたないだろう? てっきりすぐOkしてくれると思ってたから…。
ディゲクァドが「やっぱりか…。」とつぶやいた。
ディゲクァドの方を見る。ディゲクァドは、あたりまえのことを言うようにつづけた。
「お前はさっき言っただろう。スカーレットは腐っても人間の姫。
こんなことに協力するわけなかろうが。」
「そんな事言ったって…。」
キミが提案したんじゃないか…!
「姫、こいつは俺が持って帰りますので、貴重なお時間をいただき、お話を聞いてくださり感謝しています。」
そう言ってディゲクァドが出口の方に歩きだす。
このままじゃダメなのでは…?
「あっあっ、そうだ! なら、死刑囚ならどう?!!」
二人がこちらに視線を向ける。
「どういうことですの?」
よかったー! 興味を示したー!!
「えっと、いずれ死ぬ運命の死刑囚であれば、デスゲームに呼んでも問題ないですよね!」
どうだ…!
姫は数秒考えた。
姫の口から「それは…」という言葉が出て、どうだ…? と思う自分が我ながら情けないと思う。
姫は目をキラキラさせて、「いいですわね!」と言う。
思わずポカン…としてしまった。
「いずれ死ぬ運命の死刑囚であれば、わたくしも協力いたしますわ。」
「やった! じゃあそれで決まh」
「ちょっと待てよ。」
ディゲクァドが声をあげた。
何がダメだったんだ?
「話が違う。俺は協力しないぞ。」
「そんなー」
それは困る。
なら何ならいいのだ…?
ディゲクァドが帰ろうとしたとき、これはまずい! と思って、とりあえず説得のために声を上げる。
「わかった! なら、半分死刑囚で半分は国宝級の美人! これならどう?!!」
ボクは知っている。スカーレットは面食いということを…!
ディゲクァドもスカーレットも不服そうだったが、何とか納得してくれた。
スカーレットを牢から出した、そしてスカーレットの手かせ足かせも外してあげる。
スカーレットははじめ、ふらふらしながら歩いていたが、じきに慣れてきて、王族らしい美しい歩き方になった。
そんなスカーレットを見ながら「うわー…はは……は………。」と言っているとディゲクァドが「どうした?」と聞いて来たので思ったことを素直に口に出した。
「いやー、こうしてみると王族なんだなって改めて思うよ…。」
「そうかよ。」
ディゲクァドはボクの思ったことなどどうでもいいようで、そうかよ。ですまされてしまった。
そうだろ。