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ジョン、尋問される

同じ首都に住んでいるが、ジョンと兄嫁は元々会う機会がさほど多くなかった。

それでも「勤め先の奥様とトラブルがあって辞めることになるかも」とか「仲裁して下さった方がいて何とかなった」という話は聞いていたし「例の奥様が亡くなって、戦時下なのに派手なお葬式をして」だの「新しい奥様をお迎えしたらずっと働きやすくなるはず」なんて発言すらあった。

そして料理人が一人辞めることになって代わりを探しているんですって、と勧誘された時に四人家族だがご主人様と坊っちゃまはほとんど家にいないと聞いていた。


「彼女は奥様という言葉を使ったか?アンジェロ様もご家族の一員だと言ったんだな?」

時間が経って曖昧になっているが、意外なことに庭師が的確な質問をはさんで記憶を手繰りよせる助けになってくれた。

ジョンが感謝を伝えると、軍にいた時に捕虜の尋問をしてコツを覚えたんだと物騒な笑みを向けてくる。

「捕虜の扱いは国際条約で決まってるから拷問なんてしないぞ?敵国人も愛国者ばかりじゃないからな。待遇が良くなるなら進んで話をしようって奴はいるもんさ」

捕虜をこちらに協力させるのも技なんだよ。何てこと無いように言う庭師に、ジョンは「そんなだから戦場帰りが怖がられるんだろう」と感じたがそれを口にするほど愚かでは無かった。



ジョンはさっさと「お館でマリーア様が本当はどんな立場なのか」を教えてほしいのだが、「それを知ったら認識が変わって正しい情報を得られなくなるかもしれない」と庭師と料理長の意見が一致して話が一通り終わるまでおあずけをくらっている。


ちなみに、口だけでなく手も動かせと料理長は肉の下処理、ジョンはじゃがいもの皮むき、キッドは豆の筋とり、庭師は収穫した野菜の選別をしている。

当然のように庭師師弟がこの場に留まっているのは何故なのだろう。あと例の芝居好きの掃除婦も、かまどの灰をかき出しながら時々言葉をはさんでくる。


いや、それだけでは無い。

交代でお茶休憩を取りに厨房を訪れる使用人が何事かと耳を傾けているし、そんな彼女達にキッドが「あのね、ジョンさんってすごいうっかりさんなんだよ〜」と『ジョンがマリーア様を奥様と思い込んでいた事件』について面白おかしく話している。

普段「くだらない話を俺の前でするな」と言う料理長がそれを止めないので、ジョンは恥が広まっていくのを感じるがどうにも出来ずにいた。


そして死んだ魚のような目をしたジョンが一通り説明を終えると、料理長が「お前が思い違いしてた理由が大体わかった」と呟いた。



「それに、今いる使用人の多くがスカーレット様の本質を誤解してる事もな」

設定が勝手に増えてゆく…

絶対に10話じゃ終わらない。

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