表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

2話 入学式



 それでも嫌なものは嫌なのだ!

 誰が進んで虐められたいと思うの?そんなのマゾくらいしかおらんわ!


 え?暗殺者ってことをサラッと流し過ぎ?

 でも、話すようなことは特にないんだよね。

 ボクは2歳くらいの時に街に捨てられていたらしく、父さまが拾ってくれた。


 父さまの家系は代々暗殺者をやっており、父さまも暗殺者、さらにボクには3人の兄がいるんだけど、全員暗殺者だからボクも流れ的に暗殺者になった。


 暗殺が楽しいと思ったことはない。

 クズみたいな奴を殺すのは多少気が楽だけど、そいつの家族も殺さないといけない時があり、その人達がまとも、と言うケースがたまにある。そう言う時は結構心が痛む。

 あと、一年くらいかけて暗殺の準備をすることもあるし……ボクも一回参加したことがあるけど、めっちゃ大変だったな…2度とやりたくない。滅多にそんな依頼はないけどね。


 で、なんの話してたっけ…。

 そうだ、学校の話。

 本当に行きたくない…けど、今いくら心の中で文句を言ったってどうしようもないから、さっさと学校に入っちゃおう。門の前で立ち止まっていろいろ考えてたから、さっきから周りの視線が痛いんだよね。


 歩きながら、周りを観察する。

 やっぱりこの学校、相当なお金がかかってるな。

 あ、あそこの庭の木はかの有名な庭師・オルドヴィンの作品では!?とある公爵家の庭にもあった気がする……あの銅像は彫像で溢れている家を持ってるロードウェル家総員で作ったと言われる『暁の海岸』!?本物なの!?


 はぁー、すごいわ。調度品まで超高級なもので揃えられている。あ、廊下に置いてあるあの壺、多分金貨100枚くらいするな…割らないようにしないと。


 周りを見ながら歩くこと10分ほど。

 入学式が行われる講堂に着いた。わぁ、広い。

 席は、受付でもらったプリントに書いてあるらしい。どれどれ……1番後ろか、まぁ平民だからしょうがないね。見えやすいし別にいい。

 隣の人は…まだ来てないな、最後まで来なかったらいいのに…まだ虐められたくないよ…。


 席について30分後、入学式が始まった。


 学園長の言葉を適当に聞き流す。だって話長くなりそうなんだもん。


 学園長の見た目は魔女のお姉さんって感じだ。魔女っぽい帽子をかぶって、ブロンドの長い髪は下ろしており、赤色のロングドレスを着ている。かなり高身長だからあの派手なドレスを着こなせるんだろうな…。ボクの身長は160センチくらいだから、あのドレス着るのは無理。裾が地面についちゃう。


 ジロジロ見てたら学園長がこっちを見た気がする。え、この距離でバレた?ボクの席1番後ろなのに!


 あ、他の方を向いた。怖かったし、他のことを考えよう。


 この講堂の明かりはシャンデリアだ。

 しかも、蝋燭に火をつけるタイプじゃなくて光の魔石が使われてるやつ。光の魔石は貴重なのに、真ん中のでかいシャンデリアだけで100個近く使われてるじゃん…。


 あ、ボクが何でこういう調度品や美術品に詳しいかというと、暗殺者って美術に詳しく無いと、貴族の家に潜入しにくいから。

 貴族の家で働く執事やメイドって元貴族や下級貴族の人が多いから、みんな美術に詳しいんだよ。暗殺者ってそういう人たちに変装して潜入する。

 他の使用人との会話で情報を聞き出すんだけど、付け焼き刃の知識だと意外にすぐバレる。

 だから、美術品に詳しく無いとやっていけないってわけ。



 あ、学院長の話が終わったっぽい。


 「新入生代表挨拶。

 経営科主席、騎士科次席。アステルフォード・ソル・フェルエット殿下」


 うん?3人も挨拶すんの?長くなりそー……あれ、1人しか壇上に上がってない。


 あ、なるほど理解。殿下は経営科主席で同時に騎士科次席でもあるのか。

 いくつかの学科を同時に受験できるとは噂に聞いていたけど、本当にいるんだそんな人。大変そう。


 それにしても、殿下は相変わらずキラキラしてんなー。何回か見たことあるけど。


 と言うのも、父さまは国王さまに仕えてるんだよね。ついでに兄も全員同じ。

 父さまと兄3人は『影』という国王直属の組織に所属しており、父さまはその長だ。

 仕事内容は主に情報収集と王族の護衛、あとたまに暗殺。

 ボクも昔は『影』に入ろうと思ってたんだけど、それだと暗殺ギルド長である姉さまだけ仲間外れになっちゃうから、ボクは暗殺ギルドに所属している。

 で、暗殺ギルドと『影』は違う組織ではあるんだけど、たまに協力して仕事にあたる時があって、その時は父さまと姉さまが連絡を取り合わないといけない。

 その時に、ボクが2人の仲介役になる。簡単に言うと、使いっ走りをさせられるってこと。

 まぁ、ボクが家族の中で一番暇してるからしょうがないけど。

 父さまは基本的に王城にいるからボクも王城に入らないといけないじゃん?

 でも、ボクは平民だから門番が入れてくれない。

 だから毎回王城に忍び込んでる。

 で、その時に殿下をチラッと見かけたことがあるって感じ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ