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【第1章完】ゲツアサ!~インディーズ戦隊、メジャーへの道~  作者: 阿弥陀乃トンマージ
第1章

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第3話(2)唐突なフィールドアスレチック

「……」

「ふあ~あ……」

 車に乗った輝が大きなあくびをする。隣に座る凛が笑う。

「ははっ、輝っち、だいぶお眠だね~?」

「それはそうだろう……結局夜通しゲームをする羽目になったんだから……」

「迷惑そうな口ぶりだね?」

「実際迷惑だったからな」

「そのわりにはなかなか楽しそうだったけど……」

「む……」

「ねえ、心ちゃん?」

 凛が心に問う。心が口元を抑えながら話す。

「ふふっ、そうどすなあ。結構ヒートアップされていましたし……」

「むう……」

 輝が顔を赤くして俯く。

「まあ、昨夜で三人の距離はかなり縮まったよね!」

「それはそうどすなあ~」

 凛の言葉に心が頷く。

「いや~楽しかった!」

「ホンマどすなあ~」

「またこういう機会があれば良いよね」

「そうどすなあ」

「……というわけで、今日のところは……」

「待て待て!」

 輝が顔を上げる。

「うん? どうしたの?」

 凛が首を傾げる。

「それはこっちの台詞だ。何を解散しようとしている……」

「え?」

「え?じゃない」

「だって、心ちゃんが家まで送ってくれているんでしょ?」

「違う、そうじゃない」

 輝が首を左右に振る。

「え、じゃあ、何?」

「はあ……むしろここからが本題だろう……」

 輝がため息交じりに話す。

「ここからが?」

「ここから?」

「何だろう? 心ちゃん?」

「なんやろうなあ~?」

 凛と心が顔をお互いに見合わせて首を傾げる。

「いや、心! 少なくともお前は分かっているだろうが!」

「はて?」

 心が首を傾げる。

「しらばっくれるなよ。お前が打った手とやらを見に行くんだろうが」

「え! 心ちゃん、手を打ったの、大丈夫⁉」

 凛が心配そうに心の手を覗き込む。

「凛、お前はちょっと黙っていろ」

「ひ、酷い⁉」

「手を打った……?」

「メンバー探しについてだ」

「ああ、そうでしたなあ」

 心が両手を胸の前で合わせる。

「白々しいな……」

「ホンマに忘れていました」

「それはそれで問題だが」

「そうそう、これからそれを見に行くんどす」

「見に行くってなんだ?」

 輝が首を捻る。

「それは着けば分かります」

「ふむ……」

 心の言葉に輝は腕を組む。しばらくして、車が停車する。

「あ、止まったよ、輝っち」

「ああ……」

「それじゃあ降りまひょか」

 心に促され、凛と輝が車を降りる。

「ここは原っぱのようだが……?」

「あ!」

「どうした、凛?」

「あれ見て!」

「ん……ああっ⁉」

 凛の指差した先を見て、輝が驚く。まるでテレビ番組のような、大掛かりなアトラクションのオープンセットがそこには組まれていたからである。

「お、おお……」

「こ、これは……?」

「様々な障害物をアクションゲームのようにクリアし、ゴールを目指すフィールドアスレチック、『IKUSA』どす!」

「ものすごいパクリ臭がするぞ!」

「いやいや、完全にオリジナルどす」

「だ、断言したな……」

「これがメンバー探しとどう関係するの?」

 凛が尋ねる。

「良い質問どすなあ!」

「お、おう……」

 心のテンションに凛が圧される。

「それはこれから分かります」

「これから? ん?」

 若い女性が大量に集まってくる。輝が戸惑う。

「な、なんだ?」

「ふふっ、これから彼女たちにはオーディションを受けてもらいます」

「オ、オーディション?」

「そうどす」

「何のだ?」

「我が紫条院グループはこの京都に大規模なコンセプトカフェをオープンしようと計画しておりまして……そのお店で働いて下さるキャストさんをこのIKUSAで選抜しようということどす!」

「接客業と全然関係ないだろう!」

「ところがどっこい、関係あるんどすなあ……」

「なんだと?」

「このコンセプトカフェはeスポーツを得意とするキャストを揃えたいと思っています」

「eスポーツとフィールドアスレチックがいまいち結びつかないのだが……」

「ゲーム性があるという点では共通しております。なおかつ体力なども要求される仕事……それを見極めるには、このIKUSAがもっとも適しているのどす!」

「な、なるほど……!」

 凛が腕を組んで頷く。

「納得するな! どう見ても金持ちの道楽だろう!」

「よっしゃあ! 絶対クリアしたるで~!」

「ん?」

 ある女の子の声が響く。

お読み頂いてありがとうございます。

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