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エンドコンテンツ  作者: 七星北斗
1/1

1.オンボロバス

 進んだ先は、地獄でした。


 ローシェンナ中隊の休暇バス旅行、危険区域で生活を送る日々から抜け出し、ようやくほっと一息つける。


 このバスは、温泉街に向かって進んでいる。


 エボニー中隊も明後日には、我々の中隊と合流する予定だ。


 平穏なバス旅行に思えたが、やはり休ませてはくれないようだ。地獄を抜け出せたかと思えば。


 また、だと。


 神の喉元に銃口を突き付け、会話など不要なのだから吹き飛ばす日常。


 神なんぞ名乗る愚者など、細切れにしてポークの餌にしてくれる。


 旧型オンボロバスを追いかける、横幅ニメートルくらいはありそうな大蜘蛛の集団。


「もう少しスピードを上げれないのか?」


「無理を言うな」


「追い付かれるぞ」


「私、前衛の大蜘蛛を崩そうか?」


「できるならやってくれ、この距離じゃ届かん」


「了解」


 走るバスの天井に上がり、スナイパーライフルを構え。狙いを前列の蜘蛛に向け、特殊距離弾を撃ち出す。


 空気を抉るような回転をする弾丸は、蜘蛛に接触した瞬間。黒い球体の重量干渉を生み出した。


 ポニーテールの似合う彼女の能力は、仮想崩壊魔法。


 その魔法の正体は、対象の物体を分解するなどや、潰すといった現象を引き起こす能力である。


 黒い球体に触れた蜘蛛や大地ごと押し潰し、残るものは何もなかった。


「崩れた」


「ナイスっ」


 前列の蜘蛛どころか、半数の化物を魔法は飲み込んだ。化物は、蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。


「やりすきだ」


 分隊長のラッタは、溜め息を吐く。


「もうこの道は使えん」


 舗装された道路といったものは、この地域ではあまり多くはない。


 それもその筈、外敵生物タラント。先ほどのような化物が数多く存在しているからだ。


 突如現れたタラントに対して、対抗手段を持たなかった人類は、瞬く間に数を減らした。


 そこから生み出されたのが、ランアウェイである。


 十二歳以下の適正のある子供に対し、ランアウェイを投与することで、魔法という奇跡を生み出した。


「俺たち休暇っすよね?」


「そうだな」


「この辺りは安全な筈でしたよね?」


「その筈だ」


「安全地帯なんてあるわけないだろ」


「そりゃそうだ、この辺りの巡回猫は、無能らしい」


「帰ったら上に報告せねばな」


「これは減給どころか、別に飛ばされるかもな」


「世知辛いっすな」


「話変わりますが、温泉宿綺麗だといいですね」


「確かに」


 汚い温泉宿でも、今までの生活に比べたら天国ではある。


 とにかく休みたい、メジナは心からそう思った。

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