第九十五話 オワイ島に着いたら
「エリザベート、定期船の船長はお前を呼び出していったいなんの話だったんだ?」
クラウドが倒した魔獣巨大ダコクラーケンの後始末をルビアス王子としながら、エリザベートを見かけて話しかけてきた。
「うん、船にかける保護魔法をね。船長の孫に教えてあげてほしいって」
「保護魔法を?」
「そう。船長さんは安全な航海のために魔獣に対してできる限りの対策をしたいみたい。あとで魔法を使えるみんなに聞いてみるね」
「そうか。ああ、それが良い」
エリザベートは壊れた甲板のものを聖獣達と、騒ぎの間は客室に避難していたダンバと協力して次々と手際よくかたづけていった。
クラウドとルビアス王子はそんなエリザベートを眩しげに見ている。
魔獣の毒に冒された人たちも続々と魔法使いのランドルフやアリアと聖獣たちのおかげでどんどん回復していく。
襲撃にあって大変だったが、定期船はもうじき停泊地のオワイ島に着く。
――ああ、すごく久しぶりに家に帰るみたいに思えるな。
帰ってからも、やるべきことはたくさんたくさんあるけれど……。
騒がしていたパパイナ島のブリザードや大海の魔獣ダコクラーケンとの戦いを終えて、自分の家に帰れると思うとエリザベートはやっぱりホッとしてくる。
南から吹く穏やかな海風が爽やかで、戦闘で汗をかいて火照った頬にあたりとても心地よかった。