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第八十五話 エリザベート攫われる

 エリザベートは、海に落ちた乗組員をクラウドと共にルビアス王子から受け止め抱え上げていた。


 クラウドは手早く乗組員の怪我があるかないかの状態を確認しながら、乗組員の体を甲板に横たえてやろうとしていた。

 

 エリザベートが乗組員の体をクラウドの方へ全面的に渡そうとしていたその時、乗組員の腕が聖剣エクスカリバーに引っかかった。

 エリザベートは異質な気配を感じたが、引っかかている剣を引き抜く対応が遅れて――!


 魔獣巨大ダコクラーケンが触手をすごい速さで伸ばしてきた。


 毒を蓄え持つうねる触手が、エリザベートとルビアス王子がかわすまもなく背後を刺した。


 ――エリザベートとルビアス王子の体がよろける。

 

 魔獣巨大ダコの足先には猛毒がある。

 エリザベートとルビアス王子は毒に冒され体が動かなくなった。

 瞬く間に全身を駆け巡る毒で体中が痺れていく。

 指先一本たりとも体を動かせられない。

 これじゃあ戦えないっ!


「エリザベート! ルビアス!」 


 クラウドは、二人をそのままさらおうとした魔獣巨大ダコの足をぶった斬り、違う足がクラウドを襲いにかかって来たのを寸手で交わした。

 クラウドが一歩下がり、戦斧せんきバトルアックスで魔獣巨大ダコのヌメつく巨大な吸盤と足を何本か続けざま叩き斬った。


 ドドーンと魔獣巨大ダコの足は本体と離れた。魔獣ダコ本体から離れてもそれはまだビクビクと動きながら何本も甲板に転がっている。


「大丈夫かっ?! エリザベート!! ルビアスっ!」

「クラウド! だめっ、体が動かない」


 そう言うや否やエリザベートは、あっという間に怒り狂った魔獣巨大ダコにもの凄いスピードで他にもある何本もの足に絡め取られ捕まった。


「てめえっ、許さんっ!! エリザベートを離せ!!」


 こちらも怒り狂ったクラウドが跳躍して、バトルアックスを何度も振り上げては下ろし叩き斬って、的確に狙い魔獣巨大ダコの足を切り落としていく。

 

 クラウドの攻撃に耐えられなくなり、それでも魔王のためにエリザベートを手に入れたかったのか、なんと魔獣巨大ダコはクラウドに渡すまいと海にエリザベートを放り投げ捨てた。

 慌ててクラウドは、エリザベートを助けに海に飛び込んだ。

 魔獣巨大ダコはエリザベートを放り投げた方へグングン向かう。

 クラウドはバトルアックスで水中に火柱を起こして、魔獣巨大ダコの頭に刺しこみながら、沈みゆくエリザベートを追う。


(身体が動かない)


 エリザベートは海に自由の利かない体が沈んでゆくなかで考えていた。


 どんどんエリザベートの体は海底に吸い込まれるように沈む。

 

 ああ、海に落ちていく。

 ――沈んでいく。

 私はここで散るのだろうか。


 エリザベートの手足は毒で自由が奪われて、動かしたいのにいっさいぴくりとも動かない。

 

 このまま死ぬのかも知れないなと揺らぐ海の波の反射を眺めていた。

 苦し……いっ。

 息ができない。

 こんなに苦し……いなんて。

 苦し……い。


 エリザベートは意識が遠のき。

 意識がなくなっていくなか、こちらに向かう人影を見た気がした。


 だ……れ……?


 貴方は誰なの――?




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