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第八十三話 エリザベートは想いに揺れる

 恋愛どころじゃない。

 魔王は復活しつつある。

 でも私だって人を好きになって愛し合ったりしたい。


 それが力になったりするでしょ?

 この人のところへ帰ろうって、励みになる。

 希望になる。


 かつての私がそうだったから。 



「いい朝だな。エリザベート。船は順調に進んでるし、なにより風が気持ちいいな」

 エリザベートがまだ一人で甲板にいるとルビアス王子が宿のベルマンでもらった朝食用のパンを持ってやって来た。

 エリザベートに渡す。

「あっ。ルビアス王子。パンありがとう」

 受け取った焼きたてパンはまだほんのりあたたかい。

「みんな客室の中で食べてる。どうした? 考えごと?」

「ううん。大したことないこと。風が気持ちいいからあたってるだけ」

「そっか。その……さ。王子ってのやめてほしいな。俺はエリザベート、君ともう親しいつもりだから」

 頭に二人は昨日のキスがよぎる。

 慌てて二人して打ち消した。

「わかったわ。ルッ…ルビアスって呼ぶ」

 焦るエリザベートにルビアスは笑った。

 なぜだかエリザベートにはルビアスの笑顔が眩しかった。

 


(こうしていると君の肩を抱き寄せて、いつまでも船に揺れていたいなんて思う)

 でもそれは叶わない。

 

 ずっとエリザベートといたかったから。

 触れたくても我慢した。

 ルビアスはでも切なすぎて。

 想いが募る切なさに自分を抑えられなくなったら困るから、ルビアスは客室に戻ろうとした。

「後で気が向いたら中に来なよ。みな客室のフロアにいるから」

「うん」

 ルビアスが歩き出したその時だ。


「ぎゃあっ!!」

 船の上の方から叫び声が響いた!


 エリザベートとルビアスは目配せをし、聖剣を鞘から抜いて握りしめ走り出した。

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