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第八十一話 オワイ島への船出

 爽やかな風が吹いている。

 タイミングが良かった。

 これから出発するオワイ島への大型の定期船の帆船に皆で乗り込んだ。


 この定期船はエリザベートと聖獣ジスがオワイ島からパパイナ島へ向かって来た船の何倍も大きかった。


 大型船は帆にたくさんの追い風を受けて滑らかに水面を走るようにパパイナ島の港を出た。


 エリザベートは甲板に出た。

「海風が気持ちいいね」

「そうだなあ。俺の国には海はなかったから、この景色はとても新鮮だ」

 横にはクラウドがいた。

 気持ちのいい風を受けていると、なにもかも少しだけ忘れられた。

 ただなにも考えずに風に当たる。

「あの……ね。私はクラウドもルビアス王子のことも仲間だから好きだよ」

「ああ。気をつかわなくてもいいさ。はじめの頃言ったろ? 俺だけでも張りつめないでいられる相手になればって」

「そうだった。あの時は私、あなたがこんなに強いと思わなかった」

「お前の気が楽になるならって言いながら、俺はお前を悩ましちまったかな? それに俺は時々厳しいかもしれん。すまんな」

「そんなことないよ。クラウドがいると時々ピリッと締まる。ありがたい。私はまだまだだから。弱いとこあるし」

「いや充分よくやってるよ。それにお前はつええよ。俺もうかうかしてるとやられかれねえや」

 クラウドはエリザベートの頭をぽんぽんっと優しく叩いた。

「じゃあ。あとでな」

 なんだろうドキッとした。

 クラウドがやけに優しくてエリザベートは戸惑っていた。


 優しく触れられたことが、心の中にじんわりとあたたかさを灯していた。

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