第七十八話 ルビアスは悔しさに打ちひしがれる
ルビアスは一気に斬り込んできた二人をスレスレで受け止め素早く交わした。
ルビアスがそのまま下から上へ二度連続で二人を斬り上げると、エリザベートはそのまま受け止めこらえる。
お返しとばかりにクラウドの戦斧が斬り込んでくる。クラウドの戦斧を受け止めてから、ルビアスはクラウドの銅のあたりを三度斬りつけた。
クラウドは素早く戦斧ですべて受け止めて斧の先端の槍でルビアスの脇腹を狙った。
ルビアスはクラウドの槍を交わして、軽くしゃがみ飛び上がりながら方向を変え、エリザベートに斬りかかる。
エリザベートが一度上から下へエクスカリバーで素早くルビアスに斬りかかり、次に斜め左下から斜め右上へ斬り上げながら、クラウドに向け横一文字に斬りつけた。
奇しくもエリザベートを囲む形でクラウドとルビアスが追い詰めると、エリザベートはものすごい跳躍で空中に飛び上がり、上空から二人を同時に斬りつけ、クラウドは受け止めてエリザベートを跳ね返したが、そのままエリザベートはルビアスの背後に着地した。
ルビアスの背中にエリザベートのエクスカリバーの切っ先が向けられる。
「お前の負けだなルビアス。エリザベートの勝ちだ」
クラウドが審判を下すと、ルビアスは「まだまだっ」と言ってエリザベートにレイピアで斬りかかる。
エリザベートは胸下でルビアスのレイピアをエクスカリバーで受け止めて、そのまま力いっぱい右斜めに振り上げた。
ルビアスのレイピアがルビアスの手から離れ空中に振り上がり、落ちるところをエリザベートが握りしめ両手に聖剣を携え構えて、今度はクラウドに斬りかかる。
「やるな、エリザベート」
この少女はまだまだ成長する。
エリザベートの強さを身に沁みてクラウドは感じ取る。
(こんなに強くて成長過程なんざ負けてらんねえや)
二人の汗が玉のように落ちる。
空を斬る剣の音、ぶつかり合う刃と刃の火花を起こすほどの凄まじい衝撃音が、辺りに木霊する。
ルビアス王子は、かつてない己自身でも怖いほどの悔しさを味わった。
自分を奮い立たせるために追い込んでいく。
(愛する者は守りたい。なのに守りたい相手より自分が弱くてどうする?)
ルビアスは汗を拭い、エリザベートとクラウドとの決着がついたら、また手合わせをしたいと二度目の対戦を待った。