第七十話 やがて星々が降る
エリザベートは薪風呂の浴槽に浸かった。
「はあぁーっ……」
ため息が出る。
……切なくて。
ルビアス王子のこともクラウドのことも嫌いではない。
むしろ男とか女とか関係なければ好きだ。
恋愛抜きでいったら私はあの二人が好きだ。
仲間になってくれて嬉しい。
――頼りになる。
二人とも目を見張るほど力強くて優しい。
そして正義感を持って、志をもっている。
同じように一緒に魔王に立ち向かってくれると言ってくれている。
「大公……アルフレッド」
貴方が私をいらないってはっきり聞いたわけではないけれど。
私は向き合うことが怖くて貴方に会わずしてランドン公国を去ってしまった。
いまさら後悔しても仕方ないのに。
ちゃんとサヨナラしてれば貴方を忘れられたのかな?
薪風呂の天井が少し隙間があいていて、夜空が見えた。
今日は流星群が通っている。
星々が降り注ぐのがこんな隙間からも見える。
「綺麗だ……」
一つまた一つ星は流線を描いてキラキラと流れて。
流星の宇宙を駆ける一瞬のキラメキが美しい。
「しっかりしなくちゃ!」
エリザベートのから元気な声が浴室内に響く。己を鼓舞するように。
早くお風呂から上がろう。
これから作戦会議だ。
ルビアス王子とクラウドの二人に会っても普通に接しよう。
エリザベートは決心して、浴槽から上がった。