第四十話 聖獣飛来
「なっなに!?」
「敵か?」
星が降ってきた?
エリザベートとクラウドは顔の前に腕を出し光をどうにか遮って、光の正体を見極めようとした。
「どっ……どいてくださ〜い」
それは、光りながら声を発した。
そして落下してくる。
「あっ、すいません」
クラウドが抱きとめると、恥ずかしげにそれは笑った。
「ユユユ……ユニコーン!?」
今も虹色に、体をキラキラと微かに光らせながら。
その生き物は戦場で乗る馬よりやや小さな馬で、立派なツノが付いている。
「降ろすぞ」
落ちて来たユニコーンはクラウドにお姫様抱っこされてる形になっている。
「ああ、すいませんねぇ」
(きゃあ! ユニコーンだ)
エリザベートは嬉しかった。
昔、おじいちゃんが読んでくれた絵本に出てきたユニコーンが目の前に!
エリザベートはユニコーンの絵本が大好きだった。
エリザベートの憧れなのだ。
エリザベートが羨望の眼差しでユニコーンを見ている。
そんな視線を知ってか知らずか、ユニコーンは名乗りを上げる。
「ボク、聖獣のセイレンです。漆黒の勇者エリザベート。よろしくね」
「かわいい」
「?」
「あはは。よろしくね」
エリザベートは、ユニコーンに見惚れてしまっていたが慌てて挨拶する。
「君はクラウドかな? よろしくね」
「どうして俺の名前知ってんだ?」
「どうしてって。女神イシスはご存知ですから」
「どうしたっ! なにがあった!」
聖獣ジスがものすごい勢いで駆けてくる。
エリザベートが一人になりたいかと思い、気を使って失敗したかと焦る気持ちだった。
(離れるんじゃなかった)
次にアリアが目をこすりながら来た。
「どうしたのですかぁ。なにかありましたかぁ?」
寝ぼけ眼で、聖獣シヴァの入った鳥籠を持って。
シヴァはなぜだか鳥籠を内側から何度もバンバン叩いている。