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第二十五話 鳥籠のひみつ
「アンタそんなんでよくここまで来たな」
聖獣ジスが呆れてアリアに話しかけると、アリアはジスを抱き上げた。
「きゃあっ! とってもかわいい犬の聖獣さんですね」
アリアはジスに頬をスリスリする。
「やっ、やめろ! アリアくすぐったいぞ」
「うふふっ」
アリアは持ち前の天然さと可愛さで、本人も気づかないうちにうまいこと切り抜けてきたのかもしれないなあとカトリーヌは思った。
「ところでそいつの鳥籠からは魔力を感じるが」
ジスはアリアの腕からどうにかこうにか逃げると、床に後ろ足で立ち姿勢を正した。
「はい。これは大司教さまが聖獣は人を襲うやもしれないと魔法の鳥籠に閉じ込めてしまったのです」
「ひどい。聖獣は神のつかいなのに」
「そうだ! ふざけてる。ひでえな」
カトリーヌと聖獣ジスは憤慨した。
魔法の鳥籠のせいで話せず自由を奪われているのか。
聖獣本来の力も使えなくて憤りを感じているに違いない。
鳥籠のなかのハムスターがウルウルとした目で、じっと何かを訴えるようにカトリーヌを見つめてきていた。