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第二十一話 聖女アリアの大事なハムスター 

「あっ、ありがとうございます。私アリアです」

 くるくる巻き髪のアリアはカトリーヌに深々とお辞儀して礼を言った。

 落ちた鳥籠を拾ってあげると嬉しそうにアリアは笑った。

「ああ、良いんだ。礼なんて。とりあえずあなたと少し話がしたいんだが、いかがでしょうか?」

「はい、ぜひに」

 たくさんの人々が見ているので、カトリーヌは少々話し方を変え声音も低めを意識している。

 少年に見えればいい。

 勇者と分かって騒がれたくはなかった。

 カトリーヌになったのだから。

 正体を知られて、今の平和な日常を壊されることは避けたかった。

 けれど、カトリーヌはこの自分より小さな少女がなぜだか心細く思えて一人にしておけない気がした。


「じゃあ、パパイヤジュースでも飲みに参りましょう」

 アリアもカトリーヌに誘われて、ニコッと弾けるような笑顔を見せ、嬉しそうだ。

 二人は近くのパパイヤジュースの店に入ることにした。



『オレは芋を守ってるからな』

 聖獣ジスはまだオレンジ芋の上に座り律儀に芋を守っている。

 店は狭く荷車は入れないのでジスは店の外で待機だ。

『ありがとう』

『カトリーヌ。そのハムスターはなんか匂うぞ』

『うん。分かってるわジス』



「どうかしたのですか?」

「ああ……、いや」

 なにもしゃべらないカトリーヌをアリアは心配しているように見えた。

 聖獣ジスとテレパシーで話してるなんて言えないので言葉をにごす。


 小さなテーブルにパパイヤジュースが運ばれて来た。


「フード暑くないですか? 取ったらいかがですか? エリザベートさん」

 ガタッ。

 びっくりしてカトリーヌは椅子から立ち上がりかけた。


「わっ私! 名前を名乗ってないよね?」

「ハイ。でもシヴァがしゃべれないけど差し指で教えてくれましたから」

 アリアがシヴァって言った目線の先にはハムスターがいる。

「まさか」

「はい。この子は聖獣です。ちなみに……」

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