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第二百十八話 勇者たちにはまだやるべきことがある
漆黒の勇者エリザベートは愛しい仲間たちと共に、強大な宿敵である魔王ヴァーノンを倒した。
かくて再び世界を救った。
世界はしばしの安穏を得る。
だが、勇者たちにはやるべきことがいくつも残っている。
仲間たちとエリザベートは、仲間たちの故郷をエリザベートの故郷を訪ねなくてはならない。
女神イシスの導きによりそこで困っている人たちが必ず助けを待っているからだ。
あと気がかりは魔王は天昇していないことだ。
だれも分からないからたずねようがないが魔界の王は天には昇らない?
邪悪すぎて天界には行けないのか。
そもそも魔王に魂などというものはあるのだろうか。
「ねえあなた。困っているなら私の力を貸してあげる。私と仲間たちが必ず助けるわ」
――遠慮なく言ってね。
黒曜石の瞳の少女は困っている者に微笑んできっと助けてくれるはずだ。
エリザベートは手を差し伸ばす。
漆黒の勇者は愛しい仲間たちと一緒に力強く進む。
助けを求める者を見捨てはしない。
強い魔物にだって怖れずに立ち向かう。
漆黒の勇者エリザベートは仲間たちと共にまた旅に出る。