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第二百九話 エリザベートと魔王
ワナワナと震えるエリザベートは、愛するクラウドが魔王に倒された怒りを爆発させた。
魔王が張った罠の一枚ガラスの空間に閉じ込める魔法がエリザベートの自由を奪っていたが。
エリザベートの胸元に光り輝くダイヤのネックレスが瞬いた!
クラウドからもらった両親の形見のダイヤ。
施された黒の魔法使いランドルフのエリザベートとクラウドの恋の成就を祝福した加護魔法が、エリザベートの怒りと悲しみに共鳴して発動する。
バリッ。
バリーンッ。
「エリザベート!!」
エリザベートは魔王の一枚ガラスの空間魔法を、黒の魔法使いランドルフの加護のもと打ち破った。
「エリザベート!!」
エリザベートの仲間たちが喜び、エリザベートの名前を呼ぶ。
「貴様だけは許さない」
エリザベートは黒曜石に光る瞳にありったけの怒りを込め眼光鋭く威厳と誇りを持ち、目の前の憎い魔王を真っ直ぐに見据えた。
胸に熱く静かにクラウドを想いながら。
クラウドのための涙をためながら、漆黒の勇者エリザベートは魔王に立ち向かう。