第二百六話 クラウドはエリザベートを守るために
クラウドは駆けた。
間に合えっ。
お前を命をかけて守るって決めたから。
思えば俺はエリザベートお前に会った瞬間に夢中だったよ。
虜だった。
会ったひと目でお前に恋してた。
なんて強くて美しくて、優しい人かと。
なぜこんなにも可愛いのだろう。
そしてエリザベートお前は気高く儚い。
お前に出会えたから、俺は生きることをもう一度嬉しく思ったんだ。
エリザベートを守るために戦えることに喜びを得たんだ。
一緒に戦う喜びを得た。
お前の成長が嬉しくて、負けてらんねえと思ったよ。
「させるかよっ!!」
エリザベートを守る。
お前を魔王に奪われてなるものか。
必ず守るからな。
クラウドは魔王の放った攻撃より早くエリザベートの元へと走り出す。
クラウドは駆け出していた。
自分のすべてをお前のために。
全身全霊をかけてエリザベートの元へと。
魔王が握りしめて離さないバトルアックスは手放した。
今はエリザベートの元へ!!
愛する女を守るために。
間に合ったか?
――どうすれば俺は
コイツを守れるんだ?――
クラウドは両手を広げて、エリザベートの前にエリザベートを守るために壁となり盾となった。
(悪い。エリザベート……。お前を守るためにこれしか思いつかなかった)
両手を広げエリザベートを守るクラウドの心臓に、魔王が放った紫煙の豪炎の玉が直撃した!
ガラスケースに閉じ込められたエリザベートの悲鳴が上がる。
あまりにも辛く残酷な光景に涙があふれて、エリザベートの視界は揺らいだ。何もはっきりとは見えなくなっていた。
エリザベートの悲痛なる叫び声は外には聞こえない。
「いや――!! クラウド――!!」
ドサッ……。
クラウドの体はエリザベートの目の前で力なく倒れていった。