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第百九十六話 狙われたクラウド

 クラウドは無心に自分の腰よりやや左下に戦斧バトルアックスを構える。

 何秒か目を閉じる。

 来るのは分かっていた。

 そんなもん初めから覚悟は決めている。


「テメエなんかっ! ぶった斬ってやろうじゃねえかぁっ!!」


 クラウドは戦斧バトルアックスに魂を込めて、魔獣ドラゴンが空中から降りてくる前に振り斬りながら炎の柱を繰り出していく。

 先手必勝。


「来るまで待てねえなあっ!」


 クラウドはバトルアックスを何度も振り斬り、何本もの炎の柱を繰りだす!


「ギャアアアアッ!!」


 あたりいったいに魔獣ドラゴンの咆哮が轟き渡り、海賊船を揺らす。

 魔獣ドラゴンはクラウドの炎の柱に包まれて燃え上がりながら、なおクラウドに向かい来る。


 魔獣ドラゴンは紫色の炎を吐き出す!


 エリザベートが魔獣ドラゴンの吐き出す炎を走りながら交わし、積み荷を使い魔獣ドラゴンに飛び上がり向かう。

 エリザベートは聖剣エクスカリバーを横一閃にして、ドラゴンの炎に向けて斬りかかる。

 魔獣ドラゴンの炎はエクスカリバーの氷の柱によって凍りだす。


 魔獣ドラゴンは体は燃え、吐き出す炎は凍りついている。

 それでも執拗に旋回しては、エリザベートとクラウドの攻撃から巨体を器用にくねらせて逃げまわりかわし続け、クラウドを狙い続ける。


 クラウドに噛みつくタイミングをはかっている。


 まるで魔王あるじの欲望を叶えなくては、終わらない呪いと罰を受けているかのように。

 身を焦がし凍らせても魔獣ドラゴンは倒れない。

 魔獣ドラゴンはエリザベートとクラウドの二人の力をもってしても天昇しない!


「クックック。この酔狂なる光景、愉快、なんとも愉快だ。にお前たちの悶絶と苦痛に歪む顔を見せてみよ」

 海賊船はるか上空で、魔王は高らかに冷たく残虐に笑い続ける。

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