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第百八十六話 ララのことを伝える

 ジャン王子は感激やで涙もろいロマンチストだった。


「あいたたた」


 怪我をしているのにクラウドを抱きしめたりしたものだから、ジャン王子の右腕の傷はさらにジンジンと痛む。


「アンタ大丈夫か?」

「ハハハ。……いやあ、あんまり」


 ジャン王子はクラウドを抱きしめたまま、腕の傷の痛みに顔をしかめる。


「なら、いい加減離してくれ。俺は男と抱き合う趣味はない」


 クラウドはやれやれといった顔でいたが、さっきまでのムスッとした態度は改めていた。


 クラウドはジャン王子の涙を見たから。

 それにさっきエリザベートと抱き合って心が落ち着いたから。

 エリザベートは俺に安らぎをくれる。


「まああの、なんだな。……座れよ、イルニア帝国の第一王子ジャン。俺も大人気なかったやもしれん。今はそんな喧嘩をしている場合ではない。ジャン王子、態度が悪くてすまなかったな」


 クラウドはぶっきらぼうだがジャン王子を心配して椅子をすすめる。


(年の頃は同じぐらいの二人、クラウドとジャン王子は国同士が巻き込まれた戦争で対峙した関係なんだったわ)


 エリザベートはハラハラしていたが、大丈夫そうだった。


 ジャン王子はクラウドに促されて、先ほどまでの怒り狂った態度がコロッと変わり素直に宿の部屋の椅子に座った。


 エリザベートは二人の少し打ち解けた雰囲気にホッと胸を撫でおろした。

 クスリと笑う。


 宿の部屋には椅子が二脚しかなかったのでクラウドはエリザベートに譲った。

 自分はエリザベートの横に立つ。

 エリザベートをいつでも守るという強い意志の表れなのか、姫を守る騎士ナイトのようにピッタリと寄り添った。


 いよいよエリザベートはジャン王子に一番話したかった話の核心に触れようと話しだした。


 ララのことを伝える。

 ジャン王子のとても大事な人のことを――。

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