第百八十二話 嬉しくない再会。二人は旧敵にて
「何故、西国の獅子がここにいる」
ジャン王子はルビアス王子とそっくりの顔で真っ直ぐ射抜くような鋭さで、クラウドに怒りをぶつけてきている。
クラウドはそのジャン王子の不躾な態度にますます不快感を覚えて、静かに怒りを瞳に込めた。
「さあな。あんたには教えたくねえな」
クラウドは怒りで、組んだ両手を力を込め握りしめた。
ギリッと骨が鳴った。
(うわっ。険悪。なんでよ〜)
エリザベートはクラウドの両手を上から握った。
どうかクラウドの怒りがおさまりますように。
「あっ、あのですね。ジャン王子」
なんとか話を進めようとエリザベートからジャン王子に話しかける。
「なんだい? エリザベート」
ジャン王子はエリザベート《《には》》優しく優雅に微笑んだ。
(会ったばかりのくせに。そんなたらしこんだ顔で親しげにエリザベートに話しかけるな!)
クラウドは我慢がならなかった。
頭に血が昇って額に青筋が立つ。
クラウドは憤慨しクワッと目を見開いて、ジャン王子の胸ぐらを掴もうと思った……が寸前で実行に移さずに、なんとか想像しただけで心の中に抑えた。
(もうっ……)
エリザベートはクラウドとジャン王子の険悪な雰囲気に困り果てた。
だが、なんとかジャン王子にルビアスと会ってからのことや今現在の彼らが置かれてる状況を話した。
エリザベートが、ジャン王子にとって一番大事なことであろうララのことを最後にこれからしっかり説明をしようと思っていた時だ。
ガタッと椅子から立ち上がり、クラウドが何も言わずに急に部屋から出て行った。
「――えっ? ちょっ、ちょっと、クラウド?」
エリザベートは目を白黒させていた。