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第百七十八話 イルニア帝国第一王子ジャン

「なんでっ?! 兄上なんてことを」


 ルビアス王子の兄だと分かってもエリザベートは聖剣をしまわない。

 エリザベートは眉を寄せ黒曜石の瞳を光らせ睨み、剣先の狙いにルビアスの兄を捉えたままだ。

 この警戒は解くことが出来ない。


「やあ、ルビアス」

「『やあ』……じゃないよ! 兄さん」


 なんてことしてくれたんだ。

 クラウドに。

 怪我をさせたのが身内だなんて。


「おい、外に出るか?」

「……」 

「いきなり酒場でナイフなんか投げつけてきやがって、あんたどういうつもりだ?」


 クラウドは頬から出た血をぬぐいながら、イルニア帝国第一王子ジャンと視線を一瞬たりとも外さない。


 エリザベートは、クラウドに気を取られている隙をついて素早く手刀を使ってジャン王子を気絶させた。


「エッ、エリザベート?!」


 ルビアス王子はエリザベートのしたことが信じがたく、ただ驚愕していた。


 店の客たちがなんだなんだとエリザベートの周りに集まりだした。


「クラウド! ランドルフを呼んでっ! 早くっ!」


 エリザベートは気絶したジャン王子に聖剣エクスカリバーを突きつけたまま静止をする。

 クラウドが椅子やらテーブルやら野次馬を軽々と飛び越えながら、エリザベートの横に来た。

 クラウドは耳元でエリザベートに小声で呟いた。


「――魔王が来たな?」

「ええ。たぶん」


 クラウドは聖剣エクスカリバーを握りしめるエリザベートの横を風を切って抜け、颯爽と食堂から走り出す。


 あとには唖然あぜんとするルビアス王子と倒れたジャン王子、聖剣を突きつけるエリザベート。

 そして何ごとかと騒ぎ出す食堂の客の野次馬たちが、ザワザワとどよめいていた。

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