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第百七十二話 ルビアス王子とエリザベートの朝
ララの海賊船で過ごす旅も8日目の朝を迎えた。
「おはよう、エリザベート」
「おはよう、ルビアス」
エリザベートは、ルビアス王子にどこか後ろめたさがあった。
けれど真正面から向き合わなくてはこの誠実な人に失礼だ。
「おめでとう……といっておく」
「えっ」
ルビアス王子は半笑いで半分は堅い表情でエリザベートを見、祝福を言わなくてはと葛藤していた。
正直な気持ちは切ない。
まだ割り切れるわけじゃない。
エリザベートは戸惑った。
「君がクラウドと恋仲になったってさ聞いたよ。真剣な顔でクラウドから」
「ごめんなさい」
「謝らないでくれ。俺はまだ君を諦めたわけじゃないよ。それに、二人が付き合うとかどうとかは関係ないんだ。俺が君を守り魔王に立ち向かう気持ちには変わりないから」
「ルビアス」
ルビアス王子は踵を返して黒の魔法使いランドルフを探しに行った。
なんて優しい人だろうか。
まっすぐで。
ごめんなさい。
エリザベートはルビアスを傷つけてしまったとたまらない気持ちになったけれど、クラウドを愛し始めてしまった以上は仕方がないと思うしかなかった。