第百六十二話 ボクの魔法がかかっているからね
(加護もつけておいたよ、エリザベート。魔王クラスには効かないと思うけれど、きっと君のピンチに発動するはずさ)
ランドルフは思いを込めて、エリザベートの、クラウドに貰ったダイヤをネックレスにしてやった。
「あれ? アリア嫉妬した?」
エリザベートとは長い付き合いだしね。
彼女を守ることはアルフレッドとの約束だから。
(ふふふ。アリアにあげた桜貝のブレスレットにも実は加護魔法はかけてあるんだけどなあ)
「嫉妬なんてしませんっ」
アリアはムキになった。
「ほんと?」
ランドルフは悪戯っぽくアリアのアクアマリンの輝きの瞳を覗き込んだ。
アリアは恥ずかしげにランドルフから目線を逸らして、俯き地面を見てる。
ランドルフはアリアのそんないじらしい姿にたまらなくなって、彼女の手を掴みきゅっと握りしめた。
たちまち、アリアの顔が桜色に染まっていく。
「……ああっ、えっと。……少しだけ」
「んんっ?」
「少しだけです! ……エリザベートさんに、ほんのりとちょっとだけ私、もしかしたら嫉妬したかもしれませんっ」
「フフッ、素直でよろしい」
ランドルフはアリアのぷっくりとした唇に自分の人差し指を置いた。
「してもいい?」
「はい……」
アリアの顔にかかる髪をそっと掬いあげてから、ランドルフは彼女の頬にすっと手を添える。
アリアはランドルフのしなやかで細く長い指に触れられるとぴくっと体を震わせた。
「ふふっ、アリアは可愛い」
「あっ……、ありがとうございます」
ランドルフはアリアに愛おしげにそっと口づけた。