第百六十一話 アリアとランドルフと加護魔法
エリザベートが客室に戻ると、エリザベートと入れ違いでランドルフを探しに来たアリアが扉から出て来てランドルフの横にぴたっと寄り添った。
「ランドルフあれは?」
白の魔法使い聖女アリアにはエリザベートの胸のネックレスから魔法の痕跡がしっかりと見えた。
魔法使いには他の人(魔法使いではない人)に見えないものが見えたりする。
能力差はあるが。
魔法使いでも見えなかったり気づかない者もいる。
なかには魔法使いでもないのに魔法の痕跡が見えるものもいる。
体質なのか鋭いからか遠いどこかの祖先の血かは分からない。
エリザベートがそうだ。
だがエリザベートだって見えたり感じたり出来る時もあれば、気づかない時もある。
エリザベートは魔法使いではないからだ。
現にそのネックレスにかけられたランドルフのもう一つの魔法には気づいていなかった。
「あれは加護魔法ですね」
アリアには見えるのだ。
エリザベートのネックレスにはランドルフがかけたエリザベートを護るための上質な加護魔法がかかっている。
「おーさすがはボクの愛しい聖女アリア。分かったなんてすごいや」
ランドルフはアリアを褒め称えた。