第百五十九話 ランドルフからの祝福
いつもの黒の魔法使いランドルフの魔法陣とは異なる魔法陣のやわらかな光が手の平から表れて、クラウドのダイヤを袋ごと包み込む。
「フフッ、お祝いさ」
ランドルフはそう言ってエリザベートに、クラウドからもらったダイヤをそっとエリザベートの手に握らせ返した。
ランドルフの手は温かく、彼は片目をつむりウインクをして、茶目っ気たっぷりに微笑んだ。
怪訝そうな表情を浮かべ、僅かな疑いの眼差しをランドルフに向けつつエリザベートが手を開くと――。
「ランドルフ! これはっ?」
エリザベートの手の平にはクラウドからもらった大切なダイヤが一瞬にしてネックレスになってキラキラと輝いていた。
「素敵……」
ランドルフは、いつもとはまた違う優しい雰囲気でエリザベートに微笑んだ。
「君たちの新しい愛の成就にボクからプレゼントだよ。結晶。愛の結晶ってとこかな?」
「あっ、ありがとう。ランドルフ……。こんな魔法の使い方もあるのね」
「まあねぇ。魔法使いというより、なんだか手品師みたいだろ?」
「うん、驚いた」
エリザベートはランドルフがしてくれた優しさに、戸惑いながらも嬉しくてはにかんだ笑顔を見せた。
ランドルフにはエリザベートが見せた、弾けるように明るい輝きを放った笑顔が眩しかった。