第百五十一話 勇者たちの作戦会議
「俺は、エリザベートの案には一部賛成で一部反対だ」
クラウドはエリザベートを厳しい瞳で見た。
これは惚れたはれたは関係ない。
なぜなら全員の命がかかっているからだ。
クラウドは命を賭して激戦を戦い抜いてきたして者として発言する。
長い月日をまたぐ航海での実績はあまりないが、海と見まごう湖や大河での戦の経験もある。
船旅がなかったわけでもない。
水辺の合戦も経験している。
ただ穏やかなここいらの海流と、北の海流とではだいぶ様子が違うことぐらいは予想できた。
「反対はどこで改善点は?」
エリザベートはまっすぐにクラウドを光り輝く目で見た。
(自分と違う意見を言われたことに喜んでんのか? 皆で作戦を考えること自体がエリザベートには新鮮なんだな)
クラウドが思ったとおりエリザベートは仲間と談議できる歓びを感じていた。
ガタッとクラウドは立ち上がり航海図に身を乗り出した。
ルビアス王子も立ち上がった。
「ここだ」
クラウドは北の大地ルーシアスが海に一番せり出している場所を指し示した。
一同が見入る。
「俺が魔王ならここから攻め込む。だからここより南で船をつけて船を降りてあとは馬と聖獣たちで駆ける」
「はあ、そうか」
ルビアス王子が感嘆の声を上げた。
「ありがとう。それが最善に思う」
エリザベートはクラウドと一同皆に悠然と微笑んだ。