第百四十九話 聖獣セイレンの視線
今朝がたのことだ。
まだ誰も起きてこない。
朝日の光もまだだ、射し込まない。
聖獣セイレンはじい〜っと、パートナーのクラウドの眠る姿を見つめる。
聖獣セイレンはあんまりクラウドと仲良くない気がしていた。
ふと一匹だけ目が覚めてしまったから、話し相手もいない。
聖獣セイレンはハムスター姿で、子猿のサンドと一緒にクラウドの頭に乗っていた。
クラウドはすやすやと寝ている。
彼の寝息は規則正しく、呼吸に合わせ穏やかに胸が上下していた。
奥さんの聖獣シヴァは聖女アリアと仲良しでエリザベートの部屋の男性女性とを仕切り分けたカーテンの向こう側で寝ている。
なんかみんなそれぞれ仲が良いんだよな。
聖獣ジスはエリザベートと親子みたいでもちろん息があってる気がするし、聖獣バルカンはルビアス王子と仲いい楽しそうなコンビ。
ボクは?
こうしているとクラウドはなんだかお兄ちゃんみたいです。
だけどなあ。
ご飯だって作ってくれるし。
「ほら食べろよ」と優しく笑って料理をよそってくれる。
ユニコーンに戻ると毎日爪を研いでブラシで毛並みを整えてくれる。
なんだ。
ボク大事にされてたわ。
聖獣セイレンはホッとして。
クラウドの頭の上にのっかりながら瞳を閉じ、もう一度睡眠を楽しんだ。