第百四十二話 熱いキスを交わす
二人はしばらく抱き合っていた。
エリザベートにやっと気持ちが届いた。つい嬉しくて気持ちが溢れ出て抱きしめた。
湧き上がる想いのままに。
クラウドは嬉しさと愛しさが優先してエリザベートを抱きしめてしまったが。
ふと雑貨店の中だと思い出して恥ずかしくなり慌てて離れた。
客はエリザベートとクラウドの二人しかいなかったが、人前でそんなことをしたことがなかった二人は急に恥ずかしくなって顔を赤らめて焦っていた。
店主はエリザベートとクラウドに聞かれたので、店の奥で届いたばかりの荷物の山から入荷したての寝袋を熱心に探していた。
クラウドは歓喜に震えていた。
やっと自分のことを好きだと認めてくれたのだ。
エリザベートに対して嬉しさが溢れ出てクラウドは幸せだった。
エリザベートの手を掴み店の外に出る。
「あとでまた来る。寝袋を探しといてくれ」
クラウドは店の店主に扉を出る前にそう告げた。
エリザベートはクラウドはどうしたのだろうと思ったが、握られた手が温かくて恥ずかしいけど嬉しい。
男の人と手をつないだのはいつぶりだろうか。
クラウドはエリザベートとしっかりと手をつないだまま、エリザベートと歩いた。
エリザベートに想いがやっと届いた嬉しさにクラウドはどうしてもエリザベートとのその証が今すぐ欲しくて。
雑貨店の横の大木の裏に連れて行き、エリザベートの瞳を熱く見つめた。
人目にはつかない。
クラウドはエリザベートを真剣な眼差しで見つめて愛しくて仕方がなくて、エリザベートに問う。
「ここでお前に口づけてもいいか?」
クラウドの激しく力強い気持ちをこめた瞳はエリザベートの美しい瞳を見つめる。
コクリとエリザベートが首を立てに振る。
クラウドがエリザベートを握りしめた片手同士はそのままに。
エリザベートを木に寄りかからせて見つめて、クラウドは左手でエリザベートの頬に触れた。
クラウドはエリザベートの麗しい唇にややためらいながら口づけた。
本当にいいのかと。
やっとお前に気持ちは届いたけれど口づけてもいいのだろうかと。
初めは優しく。
何度も唇を重ねては次第に激しく重ね合わせてエリザベートもクラウドも甘い痺れに身を投じていく。
ずっとお前にこうしたかった。
我慢し続けたクラウドは激しくエリザベートを求める。
体中を電気が走るみたいに甘く強く痺れた感覚が襲う。
ずっとあなたとこうしていたい。
二人はそう懇願していた。
強く想う。
二人は思った。
ああ、この人を愛してしまったのだと。
クラウドはエリザベートを愛しているのだと心の深くから想う。
クラウドの腕の中で愛が始まるのをエリザベートは感じていた。
エリザベートを自分に引き寄せて何度も口づける。
果てなくエリザベートを求めては応えてくれるようになったエリザベートをさらに愛しく想う。
口づけては愛を深めて。
エリザベートとクラウドは切なく熱く唇を交わし続けていた。