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第百三十九話 旅立ちに向けて〜エリザベートとクラウドの二人きりの時間〜
「準備は入念かつ的確に迅速に、だな。備えはあればあるほど安心感にも繋がるからな。あって困るということもないだろう。ただし、移動時には身軽さも必要だ。実際に持ち運べる限度はある。拠点を置いておけばそこに備えられるが、俺たちには魔王の襲撃の可能性があるから、本拠点は作れんな」
クラウドは普段と比べようにならないぐらい活き活きと雄弁に語る。
「世界中に仮拠点をいくつか作るということ?」
エリザベートは思いついて提案する。
「そうだ! 分かってるじゃないか。エリザベートが勇者軍を率いる上で、信頼できる土地にいくつか陣営を構えられれば戦が有利になるぞ」
エリザベートは「はあ……。すごいな」と思った。
短時間でクラウドはクラウドで色々と考えていたのだ。
エリザベートは、あらためて目の前のクラウドが力強いなと思った。