第百三十八話 支援を求める
「戦うことでこれから重要なことの一つに資金繰りだな」
エリザベートとクラウドは、町の雑貨店で中央大陸から入荷した持ち運べる寝袋というのがあるというので見に来ていた。
「そうだよね。装備や食料がいるし、宿代だって払わなくちゃならない」
「俺はパラジト国に掛け合う。女王はたぶん支援をしてくれるはずだ。もとより自国を愛していて賢明な方だし、大魔王が復活となると国も当然脅かされることになる。世界が滅ぶかもしれない大いなる危機に女王は必ず快く引き受けてくれるはずだ」
エリザベートは思い知った。
この戦いは、これから向かう現実なんだと。
束の間、平和を楽しんだ。
もう大魔王ヴァーノンがいないと思っていた、心休まる平和な時間は終わったんだと思い知った。
「あとはイルニア帝国だな。まあ、王子のルビアスがいることだしな、イルニア帝国も出し渋らんだろう。まさか帝国王が自分の息子のルビアスを見捨てるわけがない。なによりもあそこが全面的に勇者軍を支援すれば影響力は多大だ。大陸全土で絶大なカリスマ性をもったイルニア帝国が協力することであちこちの国々が賛同してエリザベート率いる俺たち勇者軍に力を貸すだろう。世界中から力を必ず貸してもらえるはずだ。どのみち大魔王を野放しにすれば人間世界は滅ぶんだ。イヤでも馬鹿じゃなければ、どこの国であろうと死にたくなければ応援するだろう」
エリザベートはクラウドにグングンと惹きつけられた。
エリザベートだけでは足らない戦の知識やこれからの旅と戦に向けての数々の問題――。
パラジト王国の元将軍クラウドによって、現実に戦う準備が着々と形になって進められていく。
エリザベートはいつしかクラウドをもっと尊敬するようになっていった。
――ああ、彼から勉強することが多い。
クラウドの間近で話を聞いていると自分が一人ではないと感じるのだ。
クラウドという男、彼の存在は力強くて安心感がある。
この人の教えてくれることを余すことなく確実に吸収していきたい。
逃さず聞いていきたい。
クラウドの話はためになるなと、エリザベートは純粋に感心して思っていたのだった。