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第百二十三話 はじめての恋は黒魔法使いに
エリザベートは驚いてしばらく声が出なかった。
クラウドも目が点だった。
あの腹黒くひねくれ屋のランドルフと純朴で天然なアリア。
相容れなさそうな、白と黒。
闇と光――。
二人のどこをどうすれば恋に落ちるんだろう。
「あの……、俺は帰ったほうがいいよな?」
クラウドはまだびっくりした顔のまま、エリザベートとアリアに提案した。
「いてください。クラウドさんも」
アリアは話を聞いてほしくて懇願してる。
「はあ……。いいのか? こういうことは女同士の方がとか言わないか?」
「良いんです! お二人に聞いてほしいんです!」
アリアは泣きそうだった。
「初めてなんです」
「えっ?」
「初めて男の人を好きになりました」
アリアの恋はほんとに相手が黒の魔法使いのランドルフだよね?
エリザベートはクラウドと思わず目を合わせた。
二人ともなんとも言えない困り顔だった。