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第百二十一話 知ってしまった恋心
二人は一時間もの間鍛錬に励んだ。
クラウドはエリザベートの動きが軽くなり良くなったことに気づいて今日はここまでにしようと思った。
「エリザベート。今日はここまでにしよう」
「うん。ありがとうクラウド」
全力で手加減なしの本気の鍛錬はさすがに息が上がる。
エリザベートはクラウドをじっと見つめた。
クラウドはエリザベートを眩しく感じた。
エリザベートのこんな表情を見たら抱きしめたりしたいとこだが。
グッと我慢した。
エリザベートはクラウドに触れてみたいと微かに思ったが、彼を無駄に惑わしてしまいそうでやめた。
あの時のキスは時々エリザベートを苦しめる。
切なくて。
激しかった。
少しだけ甘く痺れるような恋の気配をエリザベートはクラウドに感じていた。
見つめ合う二人の静寂。
そこへ海岸に聖女アリアが血相をかえて走って、エリザベートのもとへやって来た。