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第百十八話 元将軍クラウドの剣の手ほどき

 クラウドは細身の剣を握った。

 扱う剣の感触を確かめるように下に向けて一振りした。

 ビュンッと剣はうなりを上げる。

 愛用の戦斧せんきバトルアックスは背中のベルトに固定する。


 クラウドはまず、剣の稽古の前にエリザベートに言っておきたかった。

 感じたことをそのままに。

 エリザベートを観察していたからこそだ。


「エリザベート。手合わせの前に、俺がお前の戦い方を見て感じてきたことを先に伝えておく。まず、率直に言うとエリザベートお前は背後が弱い。敵は真正面からだけ必ず来るわけじゃない。示し合わせたお友達じゃあねえんだ。前に山賊団と戦った時はとても良かったじゃないか。……急に仲間が増えて気配が多様化したんだな? 後ろの気配を敵か味方か察知しながらと思うから、隙が出来て数秒遅くなる。俺は躊躇ためらわない。なにしろ俺の後ろには絶えず何千何万と仲間の兵士がいたからな。これが軍隊を長く率いてきた俺と、ランドン公国軍が少数精鋭だったエリザベートお前の違いだと思うぞ。まず仲間を知れ。仲間の気配を叩き込め。――あとはだな。なぁ、エリザベート? あいつらはそんな簡単にやられんさ。信じろ仲間を。お前からはな、皆を、大切なものすべてを守ろうとしてることを気概を痛いほどにひしひしと感じ取れる。気負いすぎて力がこもって出し切れていない気がするぞ。――接近戦はめっぽう強い。だが遠くから来る武器や敵には少々(うと)い」

「……うん」

「ランドルフなんかはな、特にかわす器量技量にけているから、エリザベートの太刀筋には上手く反応して逃げるだろう。だから、大丈夫だ」

「うん……、はい、そうだよね」


 エリザベートは聞き入っていた。

 クラウドの指摘はどれもがエリザベートが危惧きぐしていたことだったからだ。


 それに、……さり気なく褒めもしてくれた。

 これが一国を率いてきた将軍クラウドなんだと、エリザベートはいたく感動していた。

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